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国立新美術館「モダン・アート,アメリカン」-珠玉のフィリップス・コレクション-

Posted in Art exhibit,New! by Administrator on the October 28th, 2011

東京六本木の国立新美術館で2011年9月28日(水)~12月12日(月)まで行われている「モダン・アート, アメリカン」―珠玉のフィリップス・コレクション-についてです。

ここしばらくは日本と米国東海岸への旅が続き、KYFAのブログのアップデートができておりませんでした。本ブログをフォローしていただいている皆様にはご心配していただいたりして大変申し訳ありませんでした。

さて、今回ご紹介しますのはアート鑑賞にぴったりの時期に行われている本企画で、私が個人的にも興味を持っているアメリカのモダンアート(19世紀半ばから1960年代)のコレクション紹介です。

ヨーロッパ文化の流れをくむアメリカ美術界は20世紀初頭にそれまでのヨーロッパ美術からはかなり飛躍した前衛芸術に大きく感化されます。

フィリップス・コレクションは鉄鋼業で財を成したフィリップス家の三代目ダンカン・フィリップスとその妻マージョリーが収集した個人コレクションがもとになっています。

1921年にアメリカ初の近代美術館として一般公開されて以来、ルノワールの代表作のひとつ《舟遊びの昼食》をはじめ、西欧近代を中心とする優れた作品群で知られる同コレクションは、その一方で、当時まだ評価の定まっていなかった同時代のアメリカ人作家の作品を積極的に購入し、ジョン・マリンやエドワード・ホッパー、スチュアート・デイヴィスら、後にアメリカの代表的作家として認められた若い芸術家を支援したことでも知られます。

今回の国立新美術館が行っている「モダン・アート,アメリカン」展はフィリップスコレクションの中でもアメリカの「モダンアート」に焦点を当て、19世紀半ばからアメリカン印象派、アメリカン・モダンを経て戦後のアメリカ絵画隆盛期までを網羅します。

本展覧会のタイトルとも一致し、目玉作品の一つとしてはエドワード・ホッパーの「日曜日」があげられるのではないでしょうか。

エドワードホッパーは都会の街並みやオフィスで働く人々、映画館、ガソリンスタンド、田舎家など見慣れた都市や郊外の風景と人々を、単純化された構図と色彩、大胆な明暗の対比、強調された輪郭線で描き出したことでよく知られています。

「日曜日」 エドワード・ホッパー

本展覧会の展示作品「日曜日」は1926年の作品。

ここではアメリカの狂騒の20年代ではなく、日曜日で閉まった店の前で何をするともなくタバコを吸う一人の男が描かれています。ホッパーが描き出す人物はその表情からは喜怒哀楽などの表情は読み取れません。そこには都会で生活する者の孤独感のようなものが表現されているのみです。

また、ホッパーのもう一つの作品「都会に近づく」は地方から都会へと向かう旅人の今まさに都市のトンネルへと入り、都会へと入らんとする気分の高揚と、歴然と立ち並ぶビルとその隙間から少しだけ見える青い空に孤独や不安を感じざるを得ません。この絵には人物はいません。作品を観る人が旅人と同じように感じるようになっているのだと思います。

「都会に近づく」 エドワード・ホッパー

また、アメリカの女流画家として最もよく知られるジョージア・オキーフの作品、「葉のかたち」も展示されています。オキーフは植物や自然、サウスウェストをモチーフにし、独特の官能的表現を通して女性としての感覚・観点から作品を作り出しています。「葉のかたち」も画面いっぱいに広がる葉を幾重にも重ね、それぞれに異なる色、形が観るものを引き込む作品になっています。

「葉のかたち」 ジョージア・オキーフ

オキーフのもう一つの展示作品「ランチョス教会、No.2、ニューメキシコ」も彼女の作風のよく表れた作品と思います。オキーフは1917年にニューメキシコ州を訪れ、その美しさに魅了されます。また1949年からはニューメキシコ州サンタフェに居を移しました。「ランチョス教会、No.2、ニューメキシコ」は干し煉瓦と赤土で作られた教会を大地と繋がるかのように描いた作品で、柔らかい表現とその力強さが対比された作品となっています。

「《ランチョス教会、No.2、ニューメキシコ」 ジョージア・オキーフ

初めてアメリカからそのアート・ムーブメントを発した抽象表現主義を代表する画家ジャクソン・ポロックとマーク・ロスコの作品も展示されています。

ジャクソン・ポロックは現実の風景や姿形等を再現するのはなく、作家の描画行為の場(フィールド)としてキャンバスをとらえ、キャンバスを床に平らに置き、缶に入った絵具やペンキを直接スティックなどでしたたらせる「ドリッピング」という技法で制作で抽象表現主義を世界的なアート・ムーブメントにしました。

ポロックの展示作品「コンポジション」はポロックがその後の抽象表現主義作風を確立する前の作品で、ピカソの影響やシュールレアリスム表現が見られます。

「コンポジション」 ジャクソン・ポロック

マーク・ロスコの展示作品「無題」はロスコ作品としてよく知られる大型作品ではなく小品です。

この作品が製作された1968年はロスコが大病をし、医師から大型作品の制作を止められた年です。ロスコが描く世界は色と形が微妙に交じり合い内面から光が照らし出されているかのようです。巨大な作品と、観る者に作品と自分との間の距離感をなくしてしまわせる独特の柔らかい光の表現はロスコ作品の典型ですが、本展示作品も商品でありながらロスコが表そうとする世界を限られた大きさの中で表現したものだと思います。

「無題」 マーク・ロスコ

このほかにもフィリップスコレクションより計110点の作品が今回の展覧会では展示されています。

「モダン・アート,アメリカン」-珠玉のフィリップス・コレクション-は12月12日まで東京六本木の国立新美術館にて開催されています。もし機会があればアートの秋を満喫しに行かれてみませんか。

「対話の画像(Images in Dialogue)」パウル・クレーとアンドリュー・ショルツ

Posted in Art exhibit,New! by Administrator on the August 20th, 2011

ベイエリア在住でKYFAが提携するMarx&Zavatteroギャラリーがレプレゼントするアーティスト、アンドリュー・ショルツ(Andrew Shoultz)の作品が現在SFMOMAにて「対話の画像(Images in Dialogue)」と題されて2012年1月8日まで特別展示されています。

Andrew Scholtz: A Litany of Defense and, A Liturgy of Power (Came) from the Palm of His Hand

これはSFMOMAのキュレーター、ジョン・ザロベルがパウル・クレーの作品をベースとしてショルツに作品制作をしてもらい、作品を見る人々にその2つの作品から生み出される「対話の画像(Images in Dialogue)」を感じてもらうという企画提案したことににはじまります。

Paul Klee: Grosses Tier (Large Beast), 1928

Andrew Schoultz: Three Caged Beasts, 2011

ショルツは勿論、大作家であるパウル・クレーは知っていましたが、自己の作品がクレーに影響されているとは思わなかったと述べています。しかし、ショルツがクレー作品を研究するにつれ、例えば、繰り返しモチーフとして用いられている「馬」、「街」、「並行する線」など、自分の作品とクレーの作品の間に共通するものが多くあることに気が付き驚きました。

Andrew Shcoultz: Three Drowning Horses, 2011

Paul Klee: Was für ein Pferd! (What a Horse!), 1929

Paul Klee: Luftschlösschen (Little Castle in the Air), 1915

Andrew Schoultz: Cloud City, 2011

こうしてショルツはSFMOMAからの本企画に挑戦することとし、同美術館のクレー・コレクションの中から数点を選んび、作品製作に立ち向かうこととなりました。今回のショルツの作品制作は通常ショルツが製作する大型作品や手の込んだ展示とは違い、比較の元となる小さなクリー作品に見合う大きさに抑えて制作にあたりました。

その結果本展覧会を見るものに、大作家と現代画家が作品を創り上げていく過程の比較と、如何に時代や世代を超えて共通するものを二人が持っているかなどが分かるという大変興味深いものとなりました。

実をいうと、私もMarx&Zavatteroギャラリーのオーナーに今回の話を聞いたときは、ショルツとクリーに果たして共通点があるのだろうかと思ったのを思い出します。前述のようにショルツの作品は大型作品が多く、またその手の込み様は、あまりにも真剣に見てしまうと、見る者の方が神経を衰弱してしまうほどであり、私が持っていたクリー作品のイメージとはかなり違うものでした。

しかし、今回のこの企画展で、この二人のアーティストがその時代背景を色濃く、また風刺を交えて作品に描き出していることや、クレーの作品が視覚的に魅力的であるだけではなく、観念的な象徴性が作品を見ると自動的に鑑賞者に意識され、かなり細かい統一性を持ちながらリズミカルに表現されていることが、ショルツの描き出す細微にわたった象徴性と繋がることなどを感じました。

1世紀を隔て二人のアーティスト作品がその絵を通して対話をしているような、まさに「対話の画像(Images in Dialogue)」というののふさわしい展覧会になっていると思いました。

もし本企画展が開催中にサンフランシスコに来られる機会があるようでしたら、是非ご覧いただきたいと思います。また、ショルツの作品に関してのお問い合わせがありましたら、お気軽にご連絡ください。

Marx&Zavatteroギャラリーの10周年記念「Sea Change」オープニング

Posted in Art exhibit,New! by Administrator on the June 17th, 2011

KYFAが提携するサンフランシスコのMarx&Zavatteroギャラリーが今月でオープン10周年を迎えるに当たり、6月11日から特別記念第一弾として「Sea Change」展を開催中です。11日はオープニングレセプションに行ってまいりました。

「Sea Change」展ではこれまでMarx&Zavatteroギャラリーが扱ってきたアーティストの選りすぐりの作品を展示し、同ギャラリーの10年間の変遷をたどります。

Part Oneとして6月11日から7月16日までに展示されるのは12人のアーティストの作品。複数のアーティスト達の作品を同時に展示することでMarx&Zavatteroギャラリーのユニークな視点と審美眼を見ることができるようになっています。

David Hervel
          
          ”Poke the Milky Way” 74″x32″x32″,
          dog taxidermy form & mixed media, 2011

この作品はデイビット・へヴェルの特徴的な、美しく、綺麗で、グロテスクという、どこか心の奥にざわめきを呼び起こすような作品です。卵から生まれ出た不思議な生命体は空高く舞い上がろうとしているかのようです。

David Lyle
          
          ”They Say that My Uncle is the Black Sheep of the Family”
       31″x28″, oil on panel, 2008

この作品では、いかにも幸せそうな1950年代の白人の家族がピアノの周りに集まって歌っているのですが、一人だけは黒人でアンクルサム(アメリカ合衆国を擬人化した架空の人物、通常は初老の白人男性)の格好をしています。作品のタイトル「私の叔父さんは家族の”Black Sheep”、”厄介者”、”面汚し”と言われている」で、かなりの皮肉が込められています。

Davis&Davis
          
          ”Bungee Baby” (Artist Proof) 49″x41″, c-print, 1996
          
          ”The Bettys” 24″x20″, c-print, 2001
          
          ”The Ralphs” (quadriptych) each 20″x24″, c-print, 1999

KYFAで以前からご紹介しているデービス&デービスの作品です。「The Ralphs (ラルフ家の人々)」は連作で、さすが4枚を一堂に飾るといかに面白いかがよくわかるものとなっています。

James Gobel
          
          ”It’s Not Easy to Let It All Go, But Once in a While it’s Good for your Soul”
       35″x24″, felt, yarn, rhinestones, & acrylic on canvas, 2011

ジェイムス・ゴベルはゲイカルチャーを軽妙に表現するアーティスト。フエルトで作られた作品はポップでキィッチュ。コンテンポラリーアート界でも注目のアーティストです。

Libby Black
          
          ”Brooke in Burberry” 72″x96″, oil on canvas, 2011

リビー・ブラックは現代のファッションカルチャーをその作品に取り入れることで有名です。この作品もバーバリーのトレンチコートを着るブルック・シールズが不思議な庭で一心不乱に庭仕事をしています。巨大な作品とひときわ目立つ色彩で、今回のショーの中で最も目を引くものとなっています。

Matt Gil
          
          ”Rubber Necker” 12.5″x11″x7″, aluminum & asphalt, 2011
          
          ”Space Walk” 50″x16″x11″, aluminum, stainless steel, & paint, 2011
          
          ”String of Beads” 120″x32″x24″, aluminum & paint, 2010

マット・ギルの作品3点です。最も大きい「String of Beads」は購入者の色の好みに合わせアーティストが後で色付けをするものとなっていて、色がいかに作品のイメージを変化させるかが面白いものとなっています。

Michael Arcega
          
          ”Conquistadorkes II”
       72″x54″x24″, manila folders, glue, & acrylic hardware, 2005
          
          ”Woodoodle 4″ 10″x10″, wood on archival board, 2010

マイケル・アセガの「Conquist a Dorkes II」はアーティストの身体に合わせて作られたマニラフォルダー(紙製の書類を入れる事務用品)製の鎧。巧みな技術で立体表現を体現しています。オープニングレセプションにアーティストが来られていましたので話を聞いたところ、この作品はアーティストの本国フィリピンと文化、人種の交流があった欧米のまじりあいを表現したものということでした。

Patrick Wilson
          
          ”Gladiator” 33″x35″, acrylic on canvas, 2011

パトリック・ウィルソンの作品。美しい色彩の調和と幾層にもなる絵の具の重なりから生まれる立体感。ウィルソンの作品は見ているだけでぐっと引き込まれるものがあり、見れば見るほどその作品に引き込まれ、時間や空間を忘れさせてしまうような魅力的なものとなっています。

Paul Paiement
          
          ”Hybrids I – Automeris Stereois”
       30″x49″, wall installation, acrylic on acrylic panel, 2010

ポール・ピアメントは昆虫を現代の電子器具デザイン細部をその絵画に取り入れ使って巧みに表現するアーティスト。近くで見ることで初めて気が付くような不思議な細部や、立体物にすることで生まれる微妙な視覚表現は見ていて飽きることはありません。

Stephen Giannetti
          
          ”Pond” 20″x16″, acrylic on linen, 2011
          
          ”Trompe L’oeil” 20″x16″, acrylic on linen 2011
          
          ”Ultramarine” 36″x36″, acrylic on linen, 2011

スティーブン・ジアネッティは様々な色を6層重ねる円を巧みにその絵画に表現しています。透明な色彩であるため重なった部分の色が微妙に変化し、不思議な視覚のトリックに魅了される作品です。

Taravat Talepasand
          
          ”Mullahs Ghost” 17″x4.75″x4.5″, porcelain & egg tempera, 2011
          
          ”Native Americans Beware of Native Influences”
       17.5″x12.5″, egg tempera & gold leaf on panel, 2008/2011

タラヴァット・タレパサンドはアメリカ生まれのイラン人。彼女はイスラム教文化とアメリカ文化の中で育ち、その矛盾やタブーを作品に表現
しています。

Tim Bavington
          
          ”The Modern World” 30″x30″, synthetic polymer on canvas on panel, 2010

ティム・バヴィントンのカラフルなストライプ表現はそのタイトルにある音楽から得られたもの。12色相で表現される作品は見ているうちに音楽がどこからともなく聞こえてくるようです。

「Sea Change」展は7月16日迄、サンフランシスコのMarx&Zavatteroギャラリーにて開催されています。チャンスがあれば是非直接ご覧下さい。また、ご興味のある作品がありましたら、お気軽にKYFAまでご連絡いただけますと幸いです。

SFMoMAの「THE STEINS COLLECT Matisse, Picasso, and the Parisian Avant-Garde」に行ってきました!

Posted in Art exhibit,New! by Administrator on the June 1st, 2011

5月21日から始まった「THE STEINS COLLECT Matisse, Picasso, and the Parisian Avant-Garde」展をサンフランシスコMoMAで観てきました。

実を言いますとお恥ずかしい話よく知らなかったのですが、スタインコレクションというのはアメリカの裕福なスタイン家の兄妹達(レオ、ガートルード、マイケルとその妻サーラ)が20世紀の初めにパリに住み始め、当時はまだ大衆には理解されていなかった前衛芸術、マティスやピカソなどの作品を集めたところから来ています。今回の展覧会で分かったのですが、彼らの経済的、精神的な援助などから、パリで花開いた当時の芸術革命に火がついたといっても大げさではないように思えます。

今回SFMoMA行われている展覧会は、現在は様々な理由で散逸してしまったマティス、ピカソ、セザンヌ、レノアール、ロートレック等などのスタインコレクションを一堂に集めての展覧会です。今回集められた作品の中にはマティスの「Blue Nude(ブルー・ヌード)」(ボルチモア美術館所蔵)と「Salf-Portrait(自画像)」(コペンハーゲン、スタテン博物館所蔵)やピカソの有名な肖像画「Gertrude Stein(ガートルード・スタイン)」(メトロポリタン美術館所蔵)などがあります。

Henri Matisse, Blue Nude: Memory of Biskra, 1907; The Baltimore Museum of Art: The Cone Collection; © 2011 Succession H. Matisse/Artists Rights Society (ARS), New York

Portrait of Gertrude Stein, 1906, Metropolitan Museum of Art, New York City

このように簡単に言葉で表すとあまりインパクトがありませんが、スタイン家のそれぞれの人物達が収集した作品の数々を目の前にすると、果たしてこの表現が正しいのかどうかは分かりませんが、これほどまでの作品を裕福ではあるけれども、超がつくような大金持ちではなかったスタイン家の人々の審美眼と先見性に、どこか背筋がぞっとするような興奮を覚えずにはいられませんでした。

スタイン兄妹ではガートルード・スタインが作家(著者)として有名ですが、1903年から1914年までガートルードと兄のレオの二人は共にパリで暮らしました。二人はセザンヌやルノワールなどの現代美術の初期作品の収集を始め、まだ当時は無名であったピカソ(ガートルードはピカソと友人になり、彼女自身や甥のアラン・スタインの肖像画を描いてもらっている)、マティス、アンドレ・ドラン、ジョルジュ・ブラック、フアン・グリスなど若い画家達の初期の絵画を収集していきます。


[上写真は1913年頃のスタイン兄妹のフルリュース通り27番のサロンの様子。壁にかかる絵画が、ピカソ、マティス、セザンヌなどであることが分かります。]

第一次世界大戦が始まる前、二人のパリ、フルリュース通り27番にあるサロンには、これらの画家やその他の画家および前衛 芸術家が惹き付けられました。

スタイン兄妹の収集品は、彼らがフルリュース通り27番で生活している間に開催された2つの展示会にも反映され、収集品を貸与したり、主役となった画家の援助をすることで貢献しています。1つめは1905年に開かれたパリ・サロン・ドートンヌであり、マティスやドラン等の一群の作品が原色を多用した強烈な色彩と、激しいタッチで描かれていることからフォーヴィスム(Fauvisme、野獣派)と呼ばれるようになる一派をパリの画壇に紹介して衝撃を与えました。スタイン兄妹はこの展覧会のすぐ後でマティスの「帽子を被る婦人」とピカソの「花籠を持つ少女」を入手しています。

また2つめは、1913年にニューヨークで開催されたアーモリーショーであり、当時のフランス現代美術がアメリカに初めて紹介され、賛否両論の大きな話題となりました。この展覧会は以降の美術界に限らず、アメリカに衝撃的とも言うべき大きな影響を与えたことは間違いありません。

また、今回の展覧会で初めて知ったことはマティスとピカソがスタインを通して1905年に知り合ったということ。展示されている作品の中にはピカソがマティスに対する競争心から描いたとされる作品や、ピカソがのちのキュービズムへと向かっていく契機の一つとなったことが実はアフリカン・アートを収集していたマティスのアトリエでアフリカのアートに出会ったことによるものであったことです。

Pablo Picasso, Head of a Sleeping Woman (Study for Nude with Drapery), 1907; Collection The Museum of Modern Art, New York

また、マティスが創造活動を行う上で精神的支えとなっていたのがそのアートをほかの誰よりも早く認めていたサーラ・スタインであり、マイケルとサーラが1907年にサンフランシスコ大地震のために帰国中、初めてアメリカにマティスの作品を紹介したことや、二人の40作品に及ぶマティスの収集作品がベルリンで展覧会に貸し出されている時に第一次世界大戦が勃発し、その作品が手元に戻ってこないことを悲しむサーラを慰めるためにマティスがサーラとマイケルの肖像画を描いたことなど、如何にサーラが深くマティスに影響したかなどが判りました。

Henri Matisse, The Girl with Green Eyes, 1908; oil on canvas; Collection SFMOMA

この展覧会は一度に全ての物を見ようと思ってもかなり難しいぐらいの量(絵画彫刻作品200点余り、その他資料、写真、ビデオ映像など)と質があり、また必ず出かけて行かなくてはいけないと思わせるものでした。この展覧会は9月の6日までサンフランシスコMoMAにて開催されています。その後、パリとニューヨークでも展覧会が開催される予定です。皆さんももし機会があれば、是非ご覧いただきたい展覧会です。

アバンギャルドな一夜(ArtPadSFオープニング)

Posted in Art exhibit,New! by Administrator on the May 27th, 2011

さて、先週皆さんにお知らせしていましたサンフランシスコのアートウィークのレポートです。

ArtPadSFのオープニングレセプションに招待され、大変アバンギャルドな体験をして参りました。

ArtPadSFは今年が第一回目のアートショーでしたので、果たしてどんなものになるのか興味津々でした。同時に開催されている2つのアートショーとは違って、多くはアップ・カミング(これから期待される若いアーティスト)の作品を扱うギャラリーが多くを占める、ある意味大変元気のあるアートショーです。

前回のブログでお話していた通り、会場は1950年代のモーテルを改装してアーティストに人気のあるフィネックス・ホテルです。場所はサンフランシスコをご存知の方にはよくわかると思いますが、シビックセンター近くの「テンダーロイン」地区。どちらかというとあまり治安が良くないといわれる場所ですが、ホテルの中は別世界。受付を抜けるとそこは大きな中庭があり、中央にはブルーのプールがあります。アートショーに際し、照明などが工夫されとても芸術的な雰囲気でした。

中庭ではアートショーの開催中、パフォーマンスアートが行われていて面白かったです。中でも私が会場に着いてすぐ始まったSha Sha Higby(シャシャ・ヒグビー)さんのパフォーマンスは強烈に印象に残るものでした。

今回、初めて彼女のパフォーマンスを見たのですが、最初に目に入るのはそのコスチューム。彼女が製作するコスチュームは仮面、花や昆虫の触覚、繭、クモの糸、霞、樹木の枝、木の葉、等など、様々な具象・抽象の物体が、奇妙に、また美しく、パフォーマンスをする彼女の身体全体を覆います。それは美しくて、かつ怪奇に満ちていて、自分が夢の中にいるかのような錯覚を覚えるほどです。

そして、彼女の動き(パフォーマンス)がまた凄いのです。そろり、そろりと動きながら、そのコスチュームが微妙に揺れ動き、その手、頭、腕、脚が何とも表現のし難い、なだらかなダンスとなっているのです。どこか寂しような、懐かしいような、笛、鐘などの音楽に合わせながら、実に巧妙です。

彼女のパフォーマンスの時間はもうすぐ日が落ちそうな頃。これから一体何が始まっていくのか、見ているうちに時間を忘れシャシャ・ヒグビーの幻想世界へ迷い込んでしまったような感じでした。

後から調べて分かったのですが、彼女は大学卒業後、日本に1年ほど滞在。その後インドネシア、インドなどで漆芸、人形制作、伝統舞踊を学んだそうです。そのパフォーマンスには日本の能やインドネシアなどの伝統舞踊に影響を受けたとのこと。彼女のパフォーマンスの動きは確かに日本の能の舞の、うちに込められた感情の動き等を上手く取り入れていると思われます。また、決してそれ自体に表情があるとは言い難い仮面が、ある時は哀しそうに、ある時は情にあふれんばかりに見えるのも、やはり能の影響と判りました。

実を言いますと、彼女のパフォーマンスに引き込まれてしまい、動画で映すのを忘れてしまっていました。それで、当日の物ではないですが、彼女のパフォーマンスが動画になったものを以下に載せさせていただきます。内容も違えば、舞台と野外でのパフォーマンスの差もありますが、当日の雰囲気が少しでもわかっていただくのに役につ立つかと思います。

さて、このパフォーマンスを見た後はそれぞれのギャラリーが展示するアーティストの作品を見て回りました。


やはりアップカミングのアーティストを前面に出すショーでしたので、その作品は様々な分野に及んでいました。展示の仕方もホテルの部屋だったとは思えぬほど全ての物を部屋から排除したものから、ホテル部屋そのもののを使い、まるで自分の部屋にいるかのように作品を展示したものまでいろいろです。

しかし、来場者の人達を見てみると、新しいアーティストを発見しようということなのか、メジャーな美術館のキュレーターや著名なアートコレクターなどもよく見かけました。

KYFAが提携するMarx&Zavatteroギャラリーもマット・ギルの作品を部屋の外に飾り、中にはウィリアム・スワンセン、アンドリュー・ショルツ、リビー・ブラック、スティーブン・ジアネッティ、ジェームス・ゴーベル等などの作品が展示され、一時は中に人が入りきれないくらいに好評をきしていました。

このようにしてArtPadSFのオープニングレセプションは夜遅くまで様々なパフォーマンスも行われ、それぞれのギャラリーにも絶えることなく人々であふれ、本当に賑やかで面白いものでした。様々なアップ・カミングなアーティスト達の作品を一堂にしてみることができるArtPadSFはこれからも期待できるアートショーになるようです。

サンフランシスコのアート・ウィークがいよいよ始まります!

Posted in Art exhibit,New! by Administrator on the May 18th, 2011

今月、5月19日から来月6月5日まで、サンフランシスコで3つの大きなアートショーが始まります。


昨年のSan Francisco Fine Art Fair (SFFAF)に加え、今年は新しく2つのイベントartMRKTとArtPadSFが同時期に開催されるのです。3つのアートショーではサンフランシスコの86ギャラリーをはじめ世界中から164のアートギャラリーがこのイベントに参加します。

artMRKT(http://www.art-mrkt.com/sf/show-information)はサウスオブマーケット(SOMA)のConcourse Exhibition Hallにて65ギャラリーがモダン+現代アート作品を紹介・販売します。アメリカではやはり何と言ってもニューヨークやマイアミのアートショーが有名ですが、やはりシリコンバレーを控えたサンフランシスコは将来のコレクターになっていくであろう若く、資産を持った人々が多く存在し、その人達に身近にモダン+現代アートを楽しんでもらおうというのが大きな狙いとしてあると思われます。

どうしてもニューヨークやマイアミとなると超がつくギャラリーが出店しますので、それなりに敷居が高いアートショーになってしまいがちですが、やはりこれからのコレクターをメインターゲットにと考えているサンフランシスコのアートショーはイベントもユニークなものが目立ちます。

ArtPadSF(http://artpadsf.com/)は、1956年に建てられたミッドセンチュリーなモーテルをブティックホテルとして甦らせ、現在40ものアーティスティックなブティック・ホテルグループを持つJoie de Vivreグループが手掛けるもの。3つのアートイベントの中では唯一サンフランシスコを本拠にしたイベントグループです。今回、彼らがそのアート展示会場とするのが、その1956年に建てられ、国内外のアーティスト達(有名な人たちをいくつか挙げるとすると、カート・コバーンとコートニー・ラブ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、パール・ジャム、カレン・フィンレイ、デビット・ホックニー、ジェフ・クーンズ、アラン・セラノ等など)が滞在し、サンフランシスコの中でもヒップなホテルとして知られる「フィネックス・ホテル」。このホテルの客室を個々のギャラリーにより一部屋一部屋を展示会場にしてしまいました。このホテルの部屋は一面がガラスになっているので、外からはウンドウ・ショッピングをするかのように、もっと詳しく見たければ部屋の中へ入って作品を見るという趣向になっています。

こちらにはKYFAが協賛するMarx&Zavatteroギャラリーも出店をしています。オープニングレセプションに招待されているので、19日の夜に伺ってきます。そしてその模様をぜひ皆さんにお伝えしたいと思います。

SF Fine Art Fair (SFFAF)(http://www.sffineartfair.com/show-information)は今年で2年目。サンフランシスコのフォートメイソンという旧米国海軍施設だった建物を大きなイベント会場にして約60のギャラリーがモダン・コンテンポラリーアートを中心に展示販売します。ここからはゴールデンゲートブリッジも眺めることができ、とてもサンフランシスコらしい所です。

今週から始まるサンフランシスコのアートウィーク。次回のブログはいろんな展示のご報告をしたいと思います!お楽しみに!

Matt Gil(マット・ギル)「バラエティ・パック」展のお知らせ

Posted in Art exhibit,New! by Administrator on the May 3rd, 2011

KYFAが提携する、サンフランシスコ、Marx&Zavatteroギャラリーにて4月30日より始まったMatt Gil(マット・ギル)「バラエティ・パック」展のオープニングレセプションに行ってまいりましたので、皆さんにご紹介いたします。

マット・ギルはカリフォルニア州サンノゼ市出身。アルミニュウムをベースに刺激的な色彩を施した大きな彫刻作品で有名なアーティストです。


「マット・ギル: 2002年 Yahooコレクション、カリフォルニア州 Sunnyvale市」

今回のMarx&Zavatteroに於ける個展では、従来の流れを汲む作品から、セラミック作品、アルミニュウムや鉄などの金属をアスファルトに浸し独特の光沢を持たせた新しい、実験的な作品まで色々なミディアを使用した作品群で、「バラエティ・パック」展と題されています。また、マット・ギルの製作・思考過程を鑑賞者にも味わって頂けるように、初めて作品製作過程におけるメモ、ドローイング、スケッチなどを収めた作品手帳が同時に展示され、マット・ギル・ワールドを様々に楽しんで頂ける企画となっております。

マット・ギルは大きいモニュメント的な作品がSFMOMAやバンクオブアメリカなどのコレクションになっていて、どうしてもそのような作品が中心かと思われますが、今回の個展では小品の展示が多く、小さなものでは20センチほどです。ところが、このように小さな作品でもやはりアーティストの力量が見て取れます。また、作品ははコンスタンティン・ブランクーシ、ジャン・アルプ、イサム・ノグチなどに代表される近代彫刻家に対する興味と、広い意味で今回のアスファルト作品作成のインスピレーションとなったマシュー・バーニーやロキシー・ペインなどの現代アーティスト作品への関心を組み合わせたものとなっています。マット・ギルが基本にする自然から発生する造形イメージをその優れた鋳造技術で独特の光沢や触感を作品に与えています。


「マット・ギル氏、Marx&Zavatteroにて」

今回の個展にあたり、マット・ギルは以下のようにその製作過程を説明しています。

私は朝食でテーブルについている時や夜、またある時にはテレビを見ながらや、たまたま時間を持てあました時など、とにかくいつもアイデアをスケッチしている。もし描いたものが気に入らなくてもそれを気にすることは無い。いつも簡単に物事が行くわけではなので、ただ単にずっと描き続けている。そうしているうちに何かが起こるのである。

スケッチされた物の中から「私を作ってくれ」と言われることで製作を始める。或る作品に対する気分や感情、または新しい作品の製作過程を視覚化すればするほど実際に製作することは容易になる。それは作品達がまるで自分達自身を創り出しているように感じることさえある。

その過程は、最初にある所へ行き、そして別の所へ行くというような旅行を計画することに似ている。少し迷ったらスケッチにされたもの(地図)に眼を向け、軌道修正を行う。スケッチブックの書き込みには新しい作品を完成する為に取った私の詳細なる過程が見えるはずだ。ある時にはそれが努力に値すると信じる勇気が必要だ。私にとって彫刻作品を制作することは製作を重ねる毎に楽しいものになってきている。そしてそれが更なる波及効果を生み出している。私が育った時代や場所が私の作品に反映されている。全ての完成した作品は私から天命を持って呼び出され、まるで生きていてこの世に生み出されたいと言うかのようにスケッチブックのページから飛び出してきたのだ。私が崇拝する全ての彫刻家達が私を呼び出し、あれを製作しろ、いやそれを製作しろ、またはこの作品は実際に作るまでにもっと作業やアイデアが必要だというのである。またある時はもう一度これを描き直し、本当にその作品に魂があるのかどうかを確かめよと。製作し魂を与えることで作品達は私の存在よりもはるかに長く行き続けることが出来るのだと。

「バラエティ・パック」とはまさに読んで字の如しなのである。これは私が昨年一年間に製作したものを集めたものなのである。スタイル、サイズ、色、材料、テーマなど、私にとってはアイデアが足りないということは無い。

実際に作品を目の前にすると、その質感の面白さに驚きます。作品のフォームは抽象でありながら、人の動きや物事の有様などを微妙に捉えていて見ていて飽きません。あるものは金属のように見えながらも、実はセラミックであったり、あるものは色つきのコンクリートと思っていたのがアルミニュウムだったりと、その意外さも面白さの一つです。また、今回はじめての試みとして製作されたアスファルトを使った作品は、材料のアスファルトがまるで漆のように深い黒色で、見た感じちょっとまだ濡れているような、不思議なものでした。熱いアスファルトに浸された金属はまだアスファルトが固まっていない為に独特の流れるような形状を生み出しています。これは思わず作品に手を触れたくなるようなとても興味深いものでした。

また、実際にお会いしたギル氏は、熱心に作品思考の過程や製作時の苦労話などを熱心に面白く話されていました。

このMatt Gil “Variety Pack”展はサンフランシスコのMarx&Zavatteroギャラリー (http://www.marxzav.com/index.php)にて6月4日まで開催されています。ご興味のある方は是非、KYFAまでご連絡下さい。

マット・ギル略歴
マット・ギルはカリフォルニア州サンノゼ市出身。サンノゼ州立大学から学士号を受けた後、1970年代からカリフォルニアにて個展、グループ展にて作品を発表。作品はサンノゼ美術館、サンフランシスコにあるバンカメビル旧本社、オークランド博物館シティーセンターなどのプライベートとパブリック両方のスペースで展示紹介されています。ギルの作品はサンフランシスコ近代美術館を含め、サンノゼ美術館、オラクル・コーポレーション(カリフォルニア州ベルモント市)、Allergen, Inc. (カリフォルニア州アーバイン市)、ヤフー(カリフォルニア州サニーベール市)、サックス・フィフス・アベニュー(ニューヨーク)、シドニー国際空港(オーストラリア)などの公私コレクションとして作品が蒐集されています。また、マット・ギルについてはサンフランシスコ・ クロニクル紙、ZYZZYVA、SF Weekly紙、ベイエリア・ガーディアン紙、アーキテクチャル・ダイジェスト紙、Artweek紙、artslant.com、Flavorpill.com 、カリフォルニア・アート・レビュー紙で取上げられ紹介されています。

SFMoMAの”How Wine Became Modern: Design + Wine 1976 to Now”展

Posted in Art exhibit,New! by Administrator on the April 13th, 2011

カリフォルニアは皆さんもよくご存知と思いますが、ナパバレーなど世界的にも有名なワイン生産地です。

今回は現在SFMoMAにて開催中の”How Wine Became Modern: Design + Wine 1976 to Now”展のご紹介です。

現在のアメリカの生活では、ワインバーやスタイリッシュなワイングラス・デカンターなどを抜きでは考えられませんが、今のような状況になったのは実はそんな昔の話ではありません。今ではワインは単に飲むだけのものではなく(勿論飲むのが一番ですが)、その周辺のもの、例えばワイナリー、ワインの色、匂い、土、気候、その研究、ワインを使った絵画、フィルム等々、様々な分野でワインがデザインやアートとして現代の生活の中の一部となっていることをこの展覧会では表しています。

この展覧会の題名の一部となっている1976年とは有名な「1976年パリ・テイスティング= Judgment of Paris」を示しており、ご存知の方も多いと思いますが一応の概略を説明しますと、

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1976年5月24日、当時パリでアカデミー・デュ・ヴァンというワインスクールを主催していたイギリス人「スティーヴン・スパリエ」は、パリ・インターコンチネンタルホテルで、アメリカとフランスの最高峰シャルドネとカベルネ・ソーヴィニョン(主体)をブラインドテイスティング(目隠し試飲)会を開きました。各審査員が全てのワインを20点満点で評価し、採点表を集めて集計したところ全く予想外のことが起こってしまいました。

フランスの代表として「ラモネのバタール・モンラッシェ」や「シャトー・ムートン」のビッグヴィンテージが含まれているのにも関わらず・・・。カリフォルニアの赤、スタッグス・リープ ワイン・セラーズ カベルネ・ソーヴィニョン1973と、カリフォルニアの白、シャトー・モンテリーナ シャルドネ 1973がそれぞれ1位になってしまったのです。

当時はまだ、フランスだけが高品質のワインを生産する唯一の国であると広く信じられており、第一位に輝いたカリフォルニアワインは一緒にテイスティングされたフランスワインの1/4程度の価格で取引がされていました。フランスワイン界を代表する9名のフランス人審査員、彼等が誇りにしていたフランスワインよりも、当時彼らが「安物」と蔑でいたカリフォルニアワインを選んでしまったのです。このできごと以前は「最高のワインはフランスでしか生まれない」、「歴史的な序列は変えられない」と考えられていました。パリ・テイスティングは、歴史の浅い産地でも最上のワインを生産可能であることを証明し、フランスの後塵に甘んじていた世界中の生産者を鼓舞する結果となりました。

(以上は「ヴィノス やまざき ”ワイン業界が激震した「1976年パリ・テイスティング= Judgment of Paris」とは?」”からの抜粋)

これに基づき今回の展示はその1976から今と題されているわけです。

会場ではワインのラベルから、葡萄が育つ土壌、匂い、グラス、デカンター、現代建築家によるワイナリー設計、ワインが登場する映画、ワインを主題にした映像アートまで様々な作品が展示されています。

展覧会の様子を動画にしました。是非ご覧下さい!

Davis&Davis(デービス&デービス)、Planet X(惑星X)展のお知らせ

Posted in Art exhibit,New! by Administrator on the March 26th, 2011

来る3月26日(土曜日)より、KYFAが提携いたしておりますサンフランシスコのMarx&Zavatteroギャラリーにてカリフォルニアのフォトグラファー、Davis&DavisによるPlanet X(惑星X)展を4月21日まで開催いたします。


Planet X, #16
43″ x 55″ (ed. of 8 ) and 28″ x 42″ (ed. of 5)
digital pigment print, 2010, Copyrights Marx&Zavattero

今展のテーマであるPlanet X(惑星X)とは、元々の定義としては海王星よりも遠い軌道を公転していると仮定される惑星サイズの天体をさしています。X はローマ数字の10を表すのではなく、「未確認」を意味するアルファベットのエックスなのです。冥王星は2006年8月以降は国際天文学連合により太陽系の惑星の定義が決定された際に惑星から外されたため、太陽系の第9番目の未確認惑星ということになっています。

Davis&DavisはPlanet Xシリーズでまた小さなプラスチックの人形を使い、彼らの特徴であるカメラレンズを通して表現される不思議な世界へと誘います。1950年代以降の冷戦への不安と同時に新しい世界への夢でもあった宇宙・惑星X。Planet Xシリーズではその世界はノスタルジックな宇宙世界です。小さなプラスチック人形達はそれぞれの舞台設定であるものは可笑しく、あるものは不思議な世界で生き生きと捉えられています。5センチにも満たないプラスチック人形がDavis&Davisが創り出したPlanet Xという舞台に立ち、カメラのフォーカスを当てられます。そこから生まれたのは巨大な写真(1メートルほど)に写し出されたプラスチック人形達はかつての人間が創造したSFの世界へと見るものを誘います。

Planet X展の期間中にサンフランシスコにお越しの際は是非、Marx&Zavatteroギャラリーにお立ち寄り下さい。また、KYFAまでご一報いただければ、同ギャラリーのプライベートツアーも行わせていただきます。是非お気軽にご連絡下さい。


Planet X, #12
55″ x 43″ (ed. of 8 ) and 39″ x 30.5″ (ed. of 5)
digital pigment print, 2006, Copyrights Marx&Zavattero


Planet X, #13
43″ x 55″ (ed. of 8 ) and 28″ x 42″ (ed. of 5)
digital pigment print, 2010, Copyrights Marx&Zavattero

ウィリアム・スワンソン新シリーズ公開!

Posted in Art exhibit,New! by Administrator on the March 4th, 2011

KYFAが以前から日本の皆さんにご紹介しておりますカリフォルニア州の画家、ウィリアム・スワンソンの新シリーズ「Groundwork(グランドワーク)」がサンフランシスコのMarx&Zavatteroギャラリーにて紹介されております。

Marx&Zavatteroギャラリー
http://www.marxzav.com/index.php

今回の「Groundwork (グランドワーク)」と題されたシリーズは従来のスワンソン独特な抽象画と風景画、自然と人工の混ざり合う世界の表現というものを踏襲しながらも、新たに自然な絵の具の流れ、色彩が交じり合うことで幾層にも重なる地層を表すかのような幻想空間を表現として取り入れています。

平面性と遠近法を同時進行させることによって得られるアンバランスさでその作品を観る人々を不思議な「スワンソンワールド」へと誘う作品群。描かれているのは、過去なのか、それとも未来なのか。あちらこちらで見かける人工物や産業の廃墟はあくまでも静かに横たわり、自然界の大きな力にその行く末を委ねているかのようです。

今回のブログでは私がこれらの作品を鑑賞し感じたことをそのまま言葉にしてみました。アーティストが創り出した世界は、勿論そのアーティストが意図するもの(こと)がありますが、私は観るそれぞれの人がそれぞれの感覚で解釈してよいと思っています。果たして皆さんはスワンソンの新しい作品を見てどのように感じられますか?

作品1:

20.5″ x 20.5″ acrylic on panel, 2011
(copyright Marx & Zavattero)
「Lower Spectrum」と題されたこの作品は、地球の奥深くで、熱く燃え流れるマグマを思わせる切りたてのメロン色が観るものをどきりとさせる。濃いグレーの危うい壊れゆく地表が空中に浮かび、ある部分は深い奈落に落ちていき、あるものは光りを求める生き物のように高く伸びていく。端に見える異次元の窓から見えるものは平面と直線からなる淡い情景。一体これは何処に通じていくのであろう。
<注>タイトルの「スペクトル(spectrum)」とは、複雑な情報や信号をその成分に分解し、成分ごとの大小に従って配列したもののことである。2次元以上で図示されることが多く、その図自体のことをスペクトルと呼ぶこともある。ここではLower(下方の)という言葉を添えてあるから、やはり地下の情景か。

作品2:

47″x74″ acrylic on panel, 2011
(copyright Marx & Zavattero)
「Open Land Projection」とは広がる原野が光に当たって射影されている様子であろう。この作品は灰色の空と遠くに見える雪を頂く山々を遠景に、削られた山肌には廃墟化した人工物も見える。作品左手下方からは地表が盛り上がり、流れる水と泥が怒涛のごとく流れ出す。しかしここには音は無い。手すりがついた橋は空間を旅し、いつしか途切れる黒い平面となる。眺めていると自分の足元がいつの間にかぽっかりと穴の開いたところを浮遊しているような不思議な感覚を覚える。

作品3:

22″x28″ acrylic on panel, 2011
(copyright Marx & Zavattero)
作品タイトル「Chemical Bloom」。青白い空間には山肌を縫うかのように降り積もった雪が光りと影のコントラストを写し出す。雪が溶け出した麓では生命の息吹を感じさせる緑が少しづつその生息範囲を広げていく。これは林だろうか、影となった木々は滅び去った自然の幻影。広がる窓はこれが夢の世界であることを暗示し、その記憶は徐々に忘れ去られ、黒い小さな画面となって散らばっていゆく。はじめに眺めた青白い空も実は夢であり、平面となって空間を漂うのである。

作品4:

28″x30″ acrylic on panel, 2010
(copyright Marx & Zavattero)
作品タイトル「Resource Profile」。山を削り白い大地をむき出しにした採掘場と思わしき場所。しかしそこにはぽっかりと大きな赤い穴が開いていて、まるで近くのものを何でも飲み込んでしまうかのように拡大しつつあるようだ。遠くに見える木々は暗くひっそりとしている。見ていると足元が徐々に裂け大きな黒い空間へとなっていくかのようである。
<注>Resourceは資源で、Profileはその横断面の意味。

作品5:

33″x30″ acrylic on panel, 2011
(copyright Marx & Zavattero)
作品タイトル「Understory Expanse」。この絵に表現されるのは人工物がその終わりを迎え、それまで作品の中央を支配していた白い空白空間に、徐々に自然の力が植物(緑)を繁栄させ、その空白空間が植物によって徐々に埋め尽くされようとしている幻想世界である。天へと伸びる黒い影は海を漂うゴミの島を暗示するかのよう。しかしそこにも着実に緑は増殖を始めている。遥か彼方は人類が築いた夢のあとなのか。
注:Understoryとは低木層という意味。植生調査では森林内のおおよそ背丈2m以下50cm以上の植物群を低木層と言い、この場合にはより背の高くなる植物の苗や、背の高い草をも含む。Expanseは広大な空間、または拡大という意味。

作品6:

22″x28″ acrylic on panel, 2011
(copyright Marx & Zavattero)
作品タイトル「Signal Horizon」。眼の前を昼間でも暗く、空を埋め尽くさんばかりの濃い緑色の森林。空は急に斜めから切り取られ、幾層にもなる明るい層が徐々に現れる。これは一体何を意味するのか?地平線から上るのは明るい太陽かもしれない。いや、もしかすると太陽は地平線のかなたに沈んでしまい、僅かな残りの光りが空を駆けているのではないか。空はあくまでも静かに明るい。始まりと捉えるか、終焉と捉えるかは観るものの捉え方次第だ。

作品7:

14″x16″ acrylic on panel, 2011
(copyright Marx & Zavattero)
題名「Microflora」。普段我々が目にしている世界とは違ったミクロの世界。そこでは微生物、バクテリアが自分達の世界を持っている。無尽に伸びるかのような菌糸はまるでそれ自身が意思のある生物のように動いている。微生物は誰が見ているわけでもないはずなのにあるものは緑色、あるものは桃色とそれぞれに己の色を持っている。コロニーを作った菌はまた別の菌とあいまって独自の成長を遂げている。これほどに美しく、毒々しい世界が存在することを私達は殆ど気がつかないまま日々の生活を送っている。
<注>「Microflora」の意味は「微生物相」で、特定の地域に生息・生育する微生物の種類組成。

作品8:

14″x16″ acrylic on panel, 2011
(copyright Marx & Zavattero)
題名「Luminary Construct」。今まさに光りを放つものが生まれようとしている。暗い緑やグレーの中から迸るのはそのエネルギー。我々を誘うような暗い臙脂色の敷石は明るい紅梅色と、流れ出すこげ茶色の間を何処までも続き果てしない。下からは我々を暖かく包み込む光りが輝き始めた。生まれて間もないこの光りは我々に進み道を示し、もう既に希望の光りとなっている。
<注>Luminaryは発光体(主に太陽や月)の意味。Constructは構造物、構造体。

如何ですか?今回のスワンソンの作品。実際の作品を見るとコンピューターの画面上で見るのとは違い、アーティストのエネルギーを感じます。皆さんにももし機会があれば是非、ご自分の眼で作品を見ていただきたいです。いつの間にかその絵の中に吸い込まれて過ぎ行く時間や、自分が何処にいるのかもふと忘れていることに気がつくような展示となっています。

ウィリアム・スワンソンの「Groundwork」展はサンフランシスコのMarx&Zavatteroギャラリーにて3月19日まで行われています。特別プライベート・ビューイングもアレンジさせていただいております。詳細につきましてはお気軽にKYFAまでご連絡下さい。

ご連絡:http://invest-art.kenjiyokoo.com/contactus.php

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ウィリアム・スワンソン
1970年、イリノイ州、シカゴ市出身。
主要コレクション購入先:
ウェリントン・マネージメント、ボストン、マサチューセッツ州 Wellington Management, Boston, MA
ザ・ウエスト・コレクション、オークス、ペンシルバニア州 The West Collection, Oaks, PA
オードビ・システム、サンノゼ、カリフォルニア州 Adobe Systems Inc., San José, CA
ジェーピーモルガン・チェース・アートコレクション、サンフランシスコ、カリフォルニア州 J.P. Morgan Chase & Co. Art Collection, San Francisco, CA
ユービーエス ファイナンシャル、アトランタ、ジョージア州 UBS Financial Services Inc., Atlanta, GA
ザ・プログレッシブ・アートコレクション、メイフィールド ビレッジ、オハイオ州 The Progressive Art Collection, Mayfield Village, OH
キャピタルグループ、ロサンジェルス、カリフォルニア州 Capital Group, Los Angeles, CA
ロバート・メイラー・アンダーソン、サンフランシスコ、カリフォルニア州 Robert Mailer Anderson, San Francisco, CA

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