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アバンギャルド・スタイルの珍しいファベルジェ作品 Very rare Fabergé work in Avant-Garde style

Posted in New! by Administrator on the December 15th, 2011

ファベルジェというと一般的にはロシア皇帝一族が宝石をちりばめたインペリアル・エッグを作らせたことで有名で、その作品というとどうしてもこのインペリアル・エッグを思い浮かべてしまいます。

Catherine the Great 1914年製作


Renaissance 1894年製作


Lilies of the Valley 1898年製


ですが、11月に行われたEve of Russian Art Collection in Londonでオークションにかけられたのは、これまでのファベルジェのイメージを一新させ、また、ロシアのアバンギャルド(前衛芸術)ムーブメントの歴史解釈に一石を投じるような大変珍しい作品でした。

ピーター・カール・ファベルジェのアバンギャルド的作品

一見したところでは、これがまさか宝石だとは気が付かないほどに精巧にできています。

宝石にちりばめられたこの静物作品には、銀製の大変精巧に出来たロシアの新聞(Vedomosti SPB)の切れ端には1905年10月18日の日付があり、ロシア皇帝ニコライ2世によりManifesto(十月宣言)が署名されたことがに記載されています。


このManifesto(十月宣言)はロシア初の憲法の先駆となるもので、宣言にはニコライ2世が二院制の国会を設け、すべての国民に基本的自由の権利を保障するというものが記されていました。

そしてその新聞の横にはアバンギャルドの構成による食べ物の残り物があります。

目玉焼きにされた卵の黄身は琥珀でできており、白身は白エナメルです。

また銀で出来た2尾の魚は一つが丸のまま、もう一つは骨身になっています。

また、飲み残されたウォッカは天然水晶製、吸いかけの煙草は石英と銀によってつくられています。

銀製の非常に美しい蠅は残り物に群がり、この静物作品の二日酔いの雰囲気をより醸し出させています。

この作品にある1905年というのはとても興味深く、この作品が持つ生々しい、危険を顧みないような静物作品の構成はこれより10年は先となるロシアン・アバンギャルド(ロシアン前衛芸術)のアーティスト達がよく使うイメージとして用いられるようになるからです。

ロシア・アバンギャルドというと私が最初に思い起こすのはアレクサンドル・ミハイロヴィチ・ロトチェンコ(Aleksander Mikhailovich Rodchenko)でロシア構成主義の芸術家ですが、ファベルジェを思い浮かべることは全くありませんでした。

Aleksander Mikhailovich Rodchenko

「この作品はファベルジェが製作した作品の中で最も興味深いものです。ファベルジェはこのほかにはこのような作品を一切しておらず、彼もまたアバンギャルド(前衛芸術)やロシア革命という時代の空気に心ならずも影響を受けたのだと思えます。」とロシアにあるファベルジェ博物館のアレキサンダー・イマノフ氏は述べています。

この作品はパリのコレクターにより80万ユーロ(約8千111万円)で購入されました。その希少性としてはファベルジェのインぺリアル・エッグと並ぶような作品ですが、インペリアル・エッグが何億円という値段であることを考えると案外安価であったといえるかもしれません。

また、ロシア皇帝家がらみでは今月12日にスイスのジュネーヴで行われたHôtel des Ventesのオークションでニコライ2世の家族の写真や関係品が総額1.6百万スイスフラン(約1億3千万円)の値をつけました。28点の写真ロットのうち、26点が予想落札価格の100倍の値がつき、このようなオークションとしては記録的なものとなりました。

ロシア皇帝ニコライ2世一家


ロマノフ王朝最後のロシア皇帝一家はその最後が悲劇的なものであったことから人々の関心が高く、その関連オークションは高値がついています。ロシア革命からあと数年で100年を迎えます。ロシア革命とともに終わりを迎えたファベルジェ工房(1918年に国有化)ですが、ファベルジェが創り出した芸術作品は時を超えて人々を魅了してやみません。

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