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クリフォード・スティル(Clyfford Still)が史上最高値$61.7M(約47億9千万円)で落札!

Posted in New! by Administrator on the November 12th, 2011

米ニューヨークで9日、オークションハウスのサザビーズが開いたオークションで米抽象画家クリフォード・スティル(Clyfford Still)の作品「1949-A-NO. 1」が6170万ドル(約47億9000万円)で落札されました。

Clyfford Still: 1949-A-NO.1

これは当初の予想落札価格は2500万ドル(約19億4000万円)~3500万ドル(約27億1500万円)を大きく上回るものでした。また、本落札価格6170万ドルは、1980年に死去したスティルの作品では最高 額で、これまでの最高額だった2130万ドル(約16億5350万円)の、ほぼ3倍の値が付いたことになります。

「1949-A-No. 1」の落札直後にはスティルの「1947-Y-No.2」も予想の2000万ドル(約15億5000万円)を上回る3140万ドル(約24億4000万円)、

Clyfford Still: 1947-Y-NO.2


「PH-1033」も予想落札価格の1500万ドル(約11億6000万円)を上回る1968万ドル(約15億3000万円)で落札されました。

Clyfford Still: PH-1033


また、スティルの1940年製作、抽象表現主義絵画へと作風が変化していく頃の作品PH-351も1258万ドル(約9億7800万円)で落札され、今回の4スティル作品の合計で1億2536万ドル(約97億3800万円)となりました。

Clyfford Still: PH-351

この話を聞いて、私は今から20年ほど前に初めてクリフォード・スティルの作品を当時はまだサンフランシスコのシビックセンターにあったサンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)で見たことを思い出していました。

SFMOMA Clyfford Still

私が訪ねた日は雨の降るウィークデーの午後。SFMOMAにはあまり見学者もなく、大きな壁面を埋め尽くすように大きなスティルの絵は圧倒的な存在感と暗い色調の中に激しい色の対比として浮き出すかのような黄色や赤の色には衝撃的なものがありました。また展示室はスティル作品群のみで構成されていたので、他の展示室と比べると異次元空間のような感じを持ちました。当時はスティルという画家を知りませんでしたので、こんなアーティストがアメリカにはいるんだ、でもどうして名前を知らなかったのだろうか不思議に思うと同時に、ととても印象に残ったのを覚えています。

SFMOMA Clyfford Still

クリフォード・スティルは抽象表現主義の画家として有名ではありますが、同じく抽象表現主義のジャクソン・ポロックやマーク・ロスコと比べ、日本ではあまり知名度が高くないように思われます。

今回、本ブログを書くにあたってスティルのことを調べてみて、何故そのようなことになっているかが少し分かったような気がしました。(以下、Wikipediaより翻訳抜粋)

Clyfford Still

クリフォード・スティル(1904年11月30日 – 1980年6月23日)はアメリカの画家であり、抽象表現主義の主要な人物の一人。第二次世界大戦直後の絵画界に新たな強力なアプローチを開発した抽象表現主義の第一世代の指導者でした。

同時期の抽象表現主義のアーティストとしては、フィリップ・ガストン、フランツ・クライン、ウィリアム・デ・クーニング、ロバート・マザーウェル、バーネット・ニューマン、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコが含まれています。これらのアーティスト達のスタイルやアプローチにはかなり相違があるものの、抽象表現主義は抽象的な形態、表現力豊かなブラッシュストローク、そして記念碑的に大きな作品の規模によって、第二次世界大戦中および終了後にかなりの関連性を扱ったテーマである、創造、人生、戦い、死(”人間の条件”)といった普遍的なテーマを伝えるものとなっています。

抽象表現主義の中でも最も反伝統的なアーティストと言われるスティルはこのムーブメントの基礎を築いたと評価されています。スティルは1938年から1942年の間に、1940年代にはまだ象徴超現実主義絵画を描いていたその他の彼らの仲間たちよりも一歩早く具象画から抽象画への変化しました。

抽象表現主義はニューヨークのムーブメントとして認識されていますが、スティルの造形作品はワシントン州立大学(1935年〜1941年)を初めとする、スティルが西海岸の様々な教育のポストにあった時に作成されています。この時期の彼の作品は農場生活に特徴的な人々、建物、ツール、および機械などの特性を比喩的なスタイルとして表現する作品を多く製作しています。彼は1930年代後半には彼の表現スタイルをより簡略化するために具象画から抽象画へと移りました。

1941年にスティルはサンフランシスコのベイエリアに移転、現在はサンフランシスコ・アート・インスティチュートとして知られている美術学校、California School of Fine Artsで非常に影響力のある教授となりました。彼は1946年から1950年(ニューヨークに戻った1948年夏季休憩を含む)までその学校で教えました。スティルがそれまでのスタイルを”突破”し、独自のスタイルを完成させたのがこの時期でした。

スティルは1940年代後半に長期滞在するためニューヨークを訪問し、世界に新しいアメリカのアートを立ち上げた二つのギャラリー- ペギー・グッゲンハイムのThe Art of This Century Galleryとベティ・パーソンズギャラリー – と関わるようになりました。ロスコは、ロスコの個展を1946年初めに開いたThe Art of This Century Galleryのペギー・グッゲンハイムにスティルを紹介しました。その年の後半スティルはサンフランシスコに戻り、California School of Fine Artsでその後4年間教えました。

スティルは抽象表現主義がアート界で最重要なアートムーブメントとなり、スティル自信が美術界でますます重要になった1950年代の大半をニューヨークに住んでいました。しかし、1950年代初頭にスティルは商業ギャラリーと断絶し、1961年には芸術界から自分自身を切り離す形でメリーランド州に移住します。その後1980年に彼の死まで二番目の妻、パトリシアとメリーランド州に住みました。スティルの死の前年1979年にニューヨークのメトロポリタン美術館では、それまでのスティル作品の大々的調査を行うとともに、存命の芸術家としては最大のプレゼンテーションを開催しました。

しかし、彼の死後、20世紀の最も重要なアメリカの画家とされるスティルの作品で、既にコレクターや博物館などに収集されていなかったすべての作品は、スティルの遺言により公共と学術の両方のからアクセスを閉鎖、封印さることとなりました。

スティルはその遺言で永久コレクションとして彼の作品を展示するところを確立しようとするアメリカの都市にその全財産を寄付すると指定しました。2004年8月にコロラド州デンバー市がクリフォード・スティル遺産に含まれる作品を受け取るためにスティルの妻、パトリシアによって選ばれたと発表しました。

人々から羨望の的となっているこの2,400以上の作品は(825点のキャンバス絵画や1575点の紙上作品-ドローウィングと限定版ファインアートプリントを含む)、スティルの輝かしい経歴期間中と全製作作品の94%近くを占めるものです。同博物館はまた、スティルのスケッチブック、日記、ノート、スティルの蔵書、およびその他のアーカイブを収容することとなっています。これらのほとんどの作品は25年以上、公衆の目にさらされていません。非営利組織である美術館は2011年11月18日にオープンする予定です。

Clyfford Still Museum

そうです。ここまで読まれた方はお分かりになったかと思いますが、クリフォード・スティルの作品は彼の死後そのほとんどがアート市場に出ることはなく、研究さえもできないような状態であったのです。今回のクリスティーズでオークションにかけられた4作品もこのデンバーにオープンするClyfford Still Museumの運営資金にする為のものだとのことです。

スティルが1950年代に商業ギャラリーと断絶し、1960年代以降は美術界ともつながりを切ったことと、死後25年間もその巨大なコレクションが世に出なかったことで、スティルの作品はコレクターが欲しても手に入らないような状況だったのだと思います。SFMOMAで私が20年ほど前に見ることが出来ていたのはスティルがサンフランシスコの美術学校で教えていたことで関係があったものと判りました。

ぜひ今度機会を見つけてClyfford Still Museumに行ってスティルの作品の全貌を見てみたいと思っています。

*カラー・フィールド・ペインティングとは

「色面絵画」「色彩による場の絵画」と訳されます。抽象表現主義の中でも、大きく身体を動かし、激しい筆致で描いたアクション・ペインティングのポ ロックやクーニングらの線的な 表現とは異なり、見る者を包み込むような大きく拡がる色彩(色面)によって、精神性の高い抽 象画を描いたマーク・ロスコ、バーネット・ニューマン、クリフォード・スティル、モーリス・ルイスたちの作品をカラー・フィールド・ペインティングと呼び ました。

カラーフィールドペインティングは、大きく拡がる色彩を体感して、何が描かれているのかを言葉で探るのではなく、意味にこだわらずに「感覚」や「感性」で見る、色 彩や形を体験するアートです。

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