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タマラ・ド・レンピッカ Tamara de Lempickaの魅力

Posted in コレクション,New! by Administrator on the July 9th, 2011

                  
                           Self-Portrait

二つの大戦の間に花開き、その後のデザイン・美術・文化に大きな影響を与えることとなったアールデコ。その時期にヨーロッパやアメリカで絶大な人気と名声を誇った女性肖像画家、タマラ・ド・レンピッカ。

                  

彼女の生きざまはそのスタイリッシュで官能的な絵画表現とそのまま重なっているように思います。

裕福なポーランドの良家で生まれたタマラは16歳で美男でポーランド人弁護士のタデウシュ・ウェンピツキと結婚。しかし、その後に起こるロシア革命に巻き込まれフランスに亡命します。働き手とはならない夫に代わり絵描きとして身を立てることにするタマラ。持って生まれた才能と成功への強い意志とで瞬く間に当時のパリ上流社会で成功をおさめます。

                   

狂騒の20年代に彼女の代表的な作品を次々と描く一方、恋多き女性としてボヘミア的生活を謳歌します。1928年にはウェンピッキと離婚、1933年に長年のパトロンであったラルフ・クフナー男爵と再婚しますが、時代はヨーロッパを第二次世界大戦の場に移し、タマラはアメリカへとその生活の場所を移します。

第二次世界大戦は彼女に生活の場所を移させると同時にそれまでの耽美的な人々の嗜好をも変えて行き、彼女の作品もやがて過去の物へと人々から忘れらて行きました。

                

しかし、時代は再び変わり、タマラが亡くなる数年前には彼女の作品が再評価され、ファッション界、芸能界などの著名人がその作品をコレクションし始めました。

今回このブログで紹介するのは1970年代から1980年代にかけタマラの作品を収集したファッションデザイナーのウルフギャング・ジュープが行った2009年に行ったオークションと今年6月にロンドンサザビーズで落札された作品とを中心にいくつかの作品をご紹介したいと思います。

          

          

まず最初に、ウルフギャング・ジュープのコレクションでオークションにかけられた中で最も高値を付けたのは「マージョーリー・フェリーの肖像(Portrait de Marjorie Ferry)」。

               
                     Portrait de Marjorie Ferry

落札価格はバイヤーズプレミアムを入れて489万8500ドルで落札予想価格の400万‐600万の中にとどまりはしましたが、レンピンカのオークション価格の最高額(それまでの最高額は2004年5月「ブッシュ夫人の肖像(Portrait de Mrs. Bush)」が付けた459万9500ドル)となりました。これはリーマンショック後の世界的金融危機の中での大いなる検討だったと思われます。

                   
                       Portrait de Mrs. Bush

また、同額の落札予想価格であった「ド・レ・サル侯爵夫人の肖像(Portrait de La Duchesse De La Salle)は445万500ドルという結果でした。

                  
                  Portrait de La Duchess De La Salle

この時のオークションでレンピッカの作品は「ポーム・ロショウ嬢の肖像(Portrait de Mademoiselle Poum Rachou)」と「カラーの花とアーレット・ブッカール(Arlette Boucard Aux Arums)」がそれぞれ予想落札価格を大きく超え299万4500ドル、148万2500ドルという結果でした。

          
  Portrait de Mademoiselle Poum Rachou     Arlette Boucard aux Arums

また、8月にもジョープ氏の所有作品「レ・テレフォン II (Le Telephone II)」が予想落札価格80万‐120万ドルを大きく超える198万6500ドルで落札されました。

               
                         Le Telephone II

一方サザビーズの双璧であるクリスティーズでも2009年6月にレンピンカ1932年の作品「マダムMの肖像(Portrait de Madame M.)」がオークションにかけられ、それまでのオークション最高額であった先の「マージョーリー・フェリーの肖像」を抜き、バイヤーズプレミアムを含む落札額613万500ドルを記録しました。

               
                       Portrait de Madame M.

そして先月(2011年6月)サザビーズ・ロンドンで行われた印象派・近代美術オークション(先日のエゴン・シーレの作品と同時)で、1930年製作の「眠る女(Le Dormeuse)」が予想落札価格220‐320万ポンドに対し407万3250ポンド(米ドル換算で660万6812ドル)で落札され、レンピッカのオークション史上最高価格の落札となりました。

          
                        La Dormeuse

このように、この2年の間にオークションにかけられたレンピッカの作品はほぼその度にオークション史上最高値を更新しているのがお分かりいただけますよね。勿論、レンピッカの落札価格だけで申し上げるつもりはありませんが、先日も述べた通り、オークション・アート市場はやっと世界金融危機以前のレベルにほぼ戻った状態と言えるのではないでしょうか。

レンピッカの作品は個人的に大変好きで、ちょうど去年渋谷・東急本店横Bunkamura ザ・ミュージアムで開催されていた「美しき挑発『レンピッカ展 – 本能に生きた伝説の画家 -』」を見に行ってレンピッカの作品群に感動していましたので、このところの史上最高価格更新のニュースを聞いても、「やはりそうか」という感じでさほど驚きはしませんでした。

レンピッカの描き出した洗練された官能の美はこれからも確実に人々を魅了し、将来の取引価値も上昇していくことは間違いないだろうと思います。レンピッカは当然1920年代から1030年代にかけての作品が最も高く取引されていますが、比較的長い活動期間であったアーティストである為、作品はまだまだ市場に出回っています。ペンシル(鉛筆)やチャコール(木炭)の作品は現状でも1万ドル以下でのオークション取引価格となっていますので、これからコレクションを始めたい方にも向いているかもしれませんね。

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