Marx&Zavatteroギャラリーの10周年記念「Sea Change」オープニング
KYFAが提携するサンフランシスコのMarx&Zavatteroギャラリーが今月でオープン10周年を迎えるに当たり、6月11日から特別記念第一弾として「Sea Change」展を開催中です。11日はオープニングレセプションに行ってまいりました。
「Sea Change」展ではこれまでMarx&Zavatteroギャラリーが扱ってきたアーティストの選りすぐりの作品を展示し、同ギャラリーの10年間の変遷をたどります。
Part Oneとして6月11日から7月16日までに展示されるのは12人のアーティストの作品。複数のアーティスト達の作品を同時に展示することでMarx&Zavatteroギャラリーのユニークな視点と審美眼を見ることができるようになっています。
David Hervel
”Poke the Milky Way” 74″x32″x32″,
dog taxidermy form & mixed media, 2011
この作品はデイビット・へヴェルの特徴的な、美しく、綺麗で、グロテスクという、どこか心の奥にざわめきを呼び起こすような作品です。卵から生まれ出た不思議な生命体は空高く舞い上がろうとしているかのようです。
David Lyle
”They Say that My Uncle is the Black Sheep of the Family”
31″x28″, oil on panel, 2008
この作品では、いかにも幸せそうな1950年代の白人の家族がピアノの周りに集まって歌っているのですが、一人だけは黒人でアンクルサム(アメリカ合衆国を擬人化した架空の人物、通常は初老の白人男性)の格好をしています。作品のタイトル「私の叔父さんは家族の”Black Sheep”、”厄介者”、”面汚し”と言われている」で、かなりの皮肉が込められています。
Davis&Davis
”Bungee Baby” (Artist Proof) 49″x41″, c-print, 1996
”The Bettys” 24″x20″, c-print, 2001
”The Ralphs” (quadriptych) each 20″x24″, c-print, 1999
KYFAで以前からご紹介しているデービス&デービスの作品です。「The Ralphs (ラルフ家の人々)」は連作で、さすが4枚を一堂に飾るといかに面白いかがよくわかるものとなっています。
James Gobel
”It’s Not Easy to Let It All Go, But Once in a While it’s Good for your Soul”
35″x24″, felt, yarn, rhinestones, & acrylic on canvas, 2011
ジェイムス・ゴベルはゲイカルチャーを軽妙に表現するアーティスト。フエルトで作られた作品はポップでキィッチュ。コンテンポラリーアート界でも注目のアーティストです。
Libby Black
”Brooke in Burberry” 72″x96″, oil on canvas, 2011
リビー・ブラックは現代のファッションカルチャーをその作品に取り入れることで有名です。この作品もバーバリーのトレンチコートを着るブルック・シールズが不思議な庭で一心不乱に庭仕事をしています。巨大な作品とひときわ目立つ色彩で、今回のショーの中で最も目を引くものとなっています。
Matt Gil
”Rubber Necker” 12.5″x11″x7″, aluminum & asphalt, 2011
”Space Walk” 50″x16″x11″, aluminum, stainless steel, & paint, 2011
”String of Beads” 120″x32″x24″, aluminum & paint, 2010
マット・ギルの作品3点です。最も大きい「String of Beads」は購入者の色の好みに合わせアーティストが後で色付けをするものとなっていて、色がいかに作品のイメージを変化させるかが面白いものとなっています。
Michael Arcega
”Conquistadorkes II”
72″x54″x24″, manila folders, glue, & acrylic hardware, 2005
”Woodoodle 4″ 10″x10″, wood on archival board, 2010
マイケル・アセガの「Conquist a Dorkes II」はアーティストの身体に合わせて作られたマニラフォルダー(紙製の書類を入れる事務用品)製の鎧。巧みな技術で立体表現を体現しています。オープニングレセプションにアーティストが来られていましたので話を聞いたところ、この作品はアーティストの本国フィリピンと文化、人種の交流があった欧米のまじりあいを表現したものということでした。
Patrick Wilson
”Gladiator” 33″x35″, acrylic on canvas, 2011
パトリック・ウィルソンの作品。美しい色彩の調和と幾層にもなる絵の具の重なりから生まれる立体感。ウィルソンの作品は見ているだけでぐっと引き込まれるものがあり、見れば見るほどその作品に引き込まれ、時間や空間を忘れさせてしまうような魅力的なものとなっています。
Paul Paiement
”Hybrids I – Automeris Stereois”
30″x49″, wall installation, acrylic on acrylic panel, 2010
ポール・ピアメントは昆虫を現代の電子器具デザイン細部をその絵画に取り入れ使って巧みに表現するアーティスト。近くで見ることで初めて気が付くような不思議な細部や、立体物にすることで生まれる微妙な視覚表現は見ていて飽きることはありません。
Stephen Giannetti
”Pond” 20″x16″, acrylic on linen, 2011
”Trompe L’oeil” 20″x16″, acrylic on linen 2011
”Ultramarine” 36″x36″, acrylic on linen, 2011
スティーブン・ジアネッティは様々な色を6層重ねる円を巧みにその絵画に表現しています。透明な色彩であるため重なった部分の色が微妙に変化し、不思議な視覚のトリックに魅了される作品です。
Taravat Talepasand
”Mullahs Ghost” 17″x4.75″x4.5″, porcelain & egg tempera, 2011
”Native Americans Beware of Native Influences”
17.5″x12.5″, egg tempera & gold leaf on panel, 2008/2011
タラヴァット・タレパサンドはアメリカ生まれのイラン人。彼女はイスラム教文化とアメリカ文化の中で育ち、その矛盾やタブーを作品に表現
しています。
Tim Bavington
”The Modern World” 30″x30″, synthetic polymer on canvas on panel, 2010
ティム・バヴィントンのカラフルなストライプ表現はそのタイトルにある音楽から得られたもの。12色相で表現される作品は見ているうちに音楽がどこからともなく聞こえてくるようです。
「Sea Change」展は7月16日迄、サンフランシスコのMarx&Zavatteroギャラリーにて開催されています。チャンスがあれば是非直接ご覧下さい。また、ご興味のある作品がありましたら、お気軽にKYFAまでご連絡いただけますと幸いです。