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アバンギャルドな一夜(ArtPadSFオープニング)

Posted in Art exhibit,New! by Administrator on the May 27th, 2011

さて、先週皆さんにお知らせしていましたサンフランシスコのアートウィークのレポートです。

ArtPadSFのオープニングレセプションに招待され、大変アバンギャルドな体験をして参りました。

ArtPadSFは今年が第一回目のアートショーでしたので、果たしてどんなものになるのか興味津々でした。同時に開催されている2つのアートショーとは違って、多くはアップ・カミング(これから期待される若いアーティスト)の作品を扱うギャラリーが多くを占める、ある意味大変元気のあるアートショーです。

前回のブログでお話していた通り、会場は1950年代のモーテルを改装してアーティストに人気のあるフィネックス・ホテルです。場所はサンフランシスコをご存知の方にはよくわかると思いますが、シビックセンター近くの「テンダーロイン」地区。どちらかというとあまり治安が良くないといわれる場所ですが、ホテルの中は別世界。受付を抜けるとそこは大きな中庭があり、中央にはブルーのプールがあります。アートショーに際し、照明などが工夫されとても芸術的な雰囲気でした。

中庭ではアートショーの開催中、パフォーマンスアートが行われていて面白かったです。中でも私が会場に着いてすぐ始まったSha Sha Higby(シャシャ・ヒグビー)さんのパフォーマンスは強烈に印象に残るものでした。

今回、初めて彼女のパフォーマンスを見たのですが、最初に目に入るのはそのコスチューム。彼女が製作するコスチュームは仮面、花や昆虫の触覚、繭、クモの糸、霞、樹木の枝、木の葉、等など、様々な具象・抽象の物体が、奇妙に、また美しく、パフォーマンスをする彼女の身体全体を覆います。それは美しくて、かつ怪奇に満ちていて、自分が夢の中にいるかのような錯覚を覚えるほどです。

そして、彼女の動き(パフォーマンス)がまた凄いのです。そろり、そろりと動きながら、そのコスチュームが微妙に揺れ動き、その手、頭、腕、脚が何とも表現のし難い、なだらかなダンスとなっているのです。どこか寂しような、懐かしいような、笛、鐘などの音楽に合わせながら、実に巧妙です。

彼女のパフォーマンスの時間はもうすぐ日が落ちそうな頃。これから一体何が始まっていくのか、見ているうちに時間を忘れシャシャ・ヒグビーの幻想世界へ迷い込んでしまったような感じでした。

後から調べて分かったのですが、彼女は大学卒業後、日本に1年ほど滞在。その後インドネシア、インドなどで漆芸、人形制作、伝統舞踊を学んだそうです。そのパフォーマンスには日本の能やインドネシアなどの伝統舞踊に影響を受けたとのこと。彼女のパフォーマンスの動きは確かに日本の能の舞の、うちに込められた感情の動き等を上手く取り入れていると思われます。また、決してそれ自体に表情があるとは言い難い仮面が、ある時は哀しそうに、ある時は情にあふれんばかりに見えるのも、やはり能の影響と判りました。

実を言いますと、彼女のパフォーマンスに引き込まれてしまい、動画で映すのを忘れてしまっていました。それで、当日の物ではないですが、彼女のパフォーマンスが動画になったものを以下に載せさせていただきます。内容も違えば、舞台と野外でのパフォーマンスの差もありますが、当日の雰囲気が少しでもわかっていただくのに役につ立つかと思います。

さて、このパフォーマンスを見た後はそれぞれのギャラリーが展示するアーティストの作品を見て回りました。


やはりアップカミングのアーティストを前面に出すショーでしたので、その作品は様々な分野に及んでいました。展示の仕方もホテルの部屋だったとは思えぬほど全ての物を部屋から排除したものから、ホテル部屋そのもののを使い、まるで自分の部屋にいるかのように作品を展示したものまでいろいろです。

しかし、来場者の人達を見てみると、新しいアーティストを発見しようということなのか、メジャーな美術館のキュレーターや著名なアートコレクターなどもよく見かけました。

KYFAが提携するMarx&Zavatteroギャラリーもマット・ギルの作品を部屋の外に飾り、中にはウィリアム・スワンセン、アンドリュー・ショルツ、リビー・ブラック、スティーブン・ジアネッティ、ジェームス・ゴーベル等などの作品が展示され、一時は中に人が入りきれないくらいに好評をきしていました。

このようにしてArtPadSFのオープニングレセプションは夜遅くまで様々なパフォーマンスも行われ、それぞれのギャラリーにも絶えることなく人々であふれ、本当に賑やかで面白いものでした。様々なアップ・カミングなアーティスト達の作品を一堂にしてみることができるArtPadSFはこれからも期待できるアートショーになるようです。

2 Responses to 'アバンギャルドな一夜(ArtPadSFオープニング)'

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  1. ymatsu925 said,

    on May 27th, 2011 at 2:58 am

    シャシャ・ヒグビーさんのパフォーマンス、すばらしい。霊的なものを感じますね。コスチュームというより、さまざまなオブジェがそれぞれ命をもってうごめいてるように見えました。ちょっと怖いけど。


  2. on June 1st, 2011 at 8:16 pm

    おっしゃる通り、ちょっと怖いというのが彼女のパフォーマンスに共通して言えることだと思います。言葉を超えたアニミズム的なところが人の心を打つような気がします。コメント有難うございました。

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