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フランク・ロイド・ライトと帝国ホテル(ライト館) その1

Posted in New! by Administrator on the April 23rd, 2011

東京に住んでいるときに私がとても好きな場所が帝国ホテルのオールド・インペリアル・バーでした。

こちらのバーでは旧帝国ホテルのデザインが生かされていて、一番奥のテラコッタの壁や大谷石は旧帝国ホテルのものがそのまま使われています。旧帝国ホテルの建物は1967年に閉鎖されホテル自体の建物は玄関部分が愛知県の明治村に残されているのみですが、日本滞在中に一度旧帝国ホテルの建物を見てみたいと思っていましたので、実際に訪問することが出来たときは想像以上に感動しました。

簡単に紹介しますと、旧帝国ホテル(ライト館)は20世紀を代表するアメリカの建築家フランク・ロイド・ライト(1867-1959)によって設計され、大正12年(1923)の開業から昭和42 年(1967)新館への建替えまで、日本の代表的ホテルとして東京を訪れる国内外の要人に利用されました。帝国ホテルの全容は皇居を望む日比谷通り側間口約100m、奥行約150m余の広大な敷地に、正面中央の前池、中央玄関、二層吹抜きの大食堂、高層の劇場棟などの公共空間が連続し、それらを挟むように左右に全長150m・3階建ての客室棟が2列建つという構成でした。

設計当事ライトが好んでデザインしたのは意識的に低くした天井と段差を持つ床構成。旧帝国ホテルは全体計画から個々の客室に到るまで、ライトにより極めて多様な空間構成がなされ、それまでの建築空間が主として平面的なつながりであったものを、立体的な構成へと発展させた世界的に重要な作品と評価されています。

帝国ホテルはその設計のユニークさ、美しさもさることながら、その詳細部におけるデザインがそれまでのホテルデザインにはないものでした。ライトは帝国ホテル設計に当たり、その建築資材を探しに日本の各地を周り、最終的に彫刻された栃木県産大谷石を主体に常滑焼のスクラッチ煉瓦・タイルと幾何学模様の素焼テラコッタを様々に組合わせ、建物の内外を覆いました。

建築デザインは当事のライトが特に関心を持っていたマヤ文明をモチーフにしたデザインです。大谷石はその柔らかさと当事の日本職人の腕のよさが生かされ細かい緻密な細工が施されています。

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さて、実際に明治村に移設保存されたのはこの旧帝国ホテルの中央玄関ロビー部のみです。しかし移設された帝国ホテルを外から眺めると、改めてライトの設計したこの建物の美しさに感動させられるとともに、全容は如何なる物だったかと想像させられます。

この中央玄関は旧帝国ホテル建物の特色をよく残していて、軒や手摺に使われた白い大谷石の帯は水平線を強調デザインとなり、またその帯は奥へ幾段にも重なっている様はこれから続く内部空間の複雑さを予想させるものとなっています。中央玄関を入ると中央階段を少し上り、やがてたどりつくメインロビー中央は三階までの吹き抜け構造になっています。

中央玄関内の全ての空間はこの吹き抜けを中心に回り廊下で繋がる形で展開します。個々に分かれる空間は床の高さや天井の高さがそれぞれに異なっていて、空間構成の多彩さと、実際に巡り歩く人にドラマチックな視界の変化を楽しませる設計となっています。また1階中央ロビー左右ラウンジ前の彫刻された大谷石の壁面、四つの角に立つ透かしテラコッタと大谷石で装飾された内照明からなる柱やそれから続く大食堂(移転建物には無)手前の孔雀の羽とよばれる大谷石製の大装飾は見るものを魅了します。

また、中央ロビー左右から差し込む光りは複雑な建築構成ゆえに柔らかく複雑な装飾を照らしだし、幻想的な世界に誘い込むかのようです。

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