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用の美(アメリカン・ストリームライン・デザイン)

Posted in New! by Administrator on the February 15th, 2011

アメリカのネットニュース、ハフィントン・ポストに面白い記事がありましたのでご紹介します。

今月13日より始まったアメリカ、オクラホマ州にあるフィルブリック・ミュージーアム・アートで行われているアメリカン・ストリームライン・デザイン展に関しての記事でした。ストリームラインとは流線型のこと。確かに戦後世界中みなの憧れであったアメリカのデザインは全てがこの「ストリームデザイン」であったような気がします。

元々、このストリームデザインというのは工業用品のデザインとして大恐慌期(1929年~)を始まりとする約20年間の間にはやったデザインです。このストリームデザインは曲線的で極端なまでに不必要なものを削り取ったすっきりとしたシルエットのデザインです。この催しが焦点を当てているのは大恐慌によって疲弊した当時の人々が、フランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策やストリームラインで作られた物に進歩や経済復興などを重ね合わせたものです。現在ではレトロ的、科学的でミニマリズムなスマートなスタイルはよりよい将来と希望を象徴していたのです。アメリカン・ストリーム・デザインはこうしてアメリカ国民の生活に密着する形で1930-1950年代のオフィス、リビングルーム、キッチン、バストイレをはじめ遊びや交通分野にまで浸透していきます。

確かに戦後の日本でも苦しい時を早く脱出し、新しい希望のある生活をもとめ、戦勝国であるアメリカの文化や流行をより「豊かな」ものとして捉え、憧れを持っていたのだと思います。ですからこのアメリカン・ストリーム・デザインというのは欧州を起源とするアールデコ・デザインを基にしながらもアメリカ的な大胆で力強いデザインであると思います。

アメリカのストリームライン・デザインで有名なのは工業デザインの第一世代とよばれるレイモンド・ローウィ(Raymond Loewy)とノーマン・ベル・ゲッディス(Norman Bel Geddes)の流線型デザイン。ローウィはその著書「口紅から機関車まで」で商品パッケージから鉄道までストリームラインの造形を進めます。またゲッディスは流線型の機関車を手始めに、自動車、客船までストリームラインをその流体力学的な発想から動的デザインに使用していきました。ゲッディスは「形を指図するのは機能」とのべています。しかし、この機能から生まれたデザインはその後、消費者の要求によりゲッディスが意図したものとは違う方向に発展していきます。ウォルター・ドーウィン・ティーグ(Walter Dorwin Teague)は消費者により受け入れられる造形と収益が上がる生産性をデザインの基とし企業利益を上げることに中心をすえ新しいデザインを創り出していきました。

私が今日このストリームライン・デザインに代表される品々を見て思うのは当時の工業デザイナー達が如何に機能と格好良さを兼ね備えたものを創り出そうと考えたことです。たしかに流体力学という見地からの発想であったストリームラインはいつの間にかトースターやアイロンなどの日常生活品にまで及んでいます。

今日の工業デザインにも言えることだと思いますが、ある新商品が世に出る場合、この形が「格好いい」、また大変よく売れたという理由でそれがその後のその物のデザインイメージとなって汎用されていくのでしょうね。そう考えると日頃眼にしている色々な物の形が確かにどうしてこうなっているのだろうとあらためて考えるいい機会になったように思います。

このアメリカン・ストリーム・デザイン展は2011年5月15日までオクラホマ州のフィルブリック・ミュージアム・アートで行われています。

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