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ポスト・ワー+コンテンポラリー・アート・オークション

Posted in New! by Administrator on the February 26th, 2011

今日は2月24日に開催されたシカゴにあるWright20オークションハウスの「Post War+Contemporary」オークションについてです。

オークションと言うとネットをよく使う皆さんはヤフー・オークションやeBay等を思い浮かべられる方も多いと思いますが、本来はサザビーズやクリスティーズと言ったオークションハウスにて、それぞれのテーマで実際にその実物をオークションが行われる前に見ることが出来(また、オークションカタログと言ってその商品の説明と想定価格が記載されたものを受け取ることも出来)、オークション当日はその実物がオークションの舞台にかけられ、その場にいるバイヤー(ビッター)がビット(入札)を行うというものです。有名な作品や著名なコレクターの蔵品がオークションにかかるとなるとオークション会場は華やいだ雰囲気とともに期待が膨らみます。世界各国からのバイヤーやコレクターが電話での入札指示を出したり、バイヤー同士の入札競争になり価格が予想以上に高くなり、最終的に記録的な価格での落札などとなると会場からは驚嘆の声が上がることもあります。

さて、今日ご紹介するシカゴにあるWright20オークションハウスは規模は小さいながらも面白い現代アート作品を扱っていて、私もよくその落札価格動向を見ているところです。24日のオークションは「Post War+Contemporary」と題され、20世紀後半から現代に至るまでのアーティストの作品を扱っています。今回の作品は全て手に入れやすい価格のものばかりです。実際の結果を見てみると色々と面白いことが分かります。今回、競売にかけられた作品は全部で135点。その内落札(最終的に売却が成立)されたものは94点でした。

そのなかで最初にオークションにかけられたのは、世界的に有名なアーティスト、ダミアン・ハーストが自分の有名な作品「For the Love of God」(8601個のダイヤ(1106.18カラット)とプラチナで作られた18世紀の本物の人間の頭蓋骨をモデルにしたもので、ダイヤモンドだけの価値でも1500万ポンドもするもの。実際の作品にはオリジナルの頭蓋骨のうちの歯だけが使用されている。発表当時の価格は5千万ポンド(1億ドル)。)をモチーフにした限定スクリーン印刷の上にダイヤモンドダストを使用した作品(504/1000)です。

落札想定価格は2,000-3,000ドルで、実際の落札価格は2,125ドルでした。1000部限定の504ですので結構もう少し高い値段がつくかと思っていましたが、ダミアン・ハーストと言う有名アーティストの作品の割にはかなりお手ごろな価格での落札だっといえると思います。

また、当然落札されるであろうと思っていたダミアン・ハーストの「The Souls」(2010年、限定フォイル・ブロック・プリント、9/15)は想定落札価格5,000-7,000ドルでしたが、落札とはならず、「Lepidine」(2008年、限定メタリックシルバー&スクリーン印刷、55/150も想定落札価格5,000-7,000ドルに満たない4,063ドルでの落札となりました。

これは多分、ダミアン・ハーストのコレクターがあまり参加しなかったオークションの結果であったと思われます。このような場合に落札できた人はかなりラッキーですね。このようにオークションは往々にしてその時のオークションに参加している人達で大きく価格が左右されます。反対にあるオークション作品に2人以上のコレクターがビッド合戦を行ったりする場合には思いもよらず高い価格になることもよくあることです(これはネットオークションも同じですね)。

例えばこのオークションでもアンディー・ウォーホールの作品が出展されていました。それはウォーホールの「Cow」という1966年のシルクスクリーン作品です。因みにこの作品はオープンエディションで限定作品ではありません。

想定落札価格は2,000-3,000ドルでしたが、結果は想定価格の2倍以上の6,250ドル。確かにアンディー・ウォーホールは大変人気のあるアーティストで、ここ最近の価格動向を見ても今でも大変強いアーティストの一人と言えると思います。実際、故アンディ・ウォーホールの自画像が、2月16日にロンドンの競売大手クリスティーズで競売にかけられ、1,080万ポンド、日本円にして約14億5,000万円で落札(予想落札価格の2倍を超える)されたことが大きなニュースになりました。落札された自画像は、1967年に描かれた11枚の自画像シリーズの一つです。

確かにこのような話題の直後に行われたオークションであったのでこの作品(「Cow」)もつられてこのような値段になったとも言えると思います。因みに同じ作品が2010年の間に2点別のオークションにかけられていますが落札価格は(コンディション等の詳細は不明)2,750ドルと4,525ドルでした。オークションは如何に上手く広告をし、より幅広い人を対象に出来るようにするのが高価格で売却するコツなのだと言うことがよく分かります。今回の場合はオークションハウスの努力と言うより、たまたま時期が重なったと言うことではありますが。

このほか本オークションではある作品は想定価格を大きく上まって落札されることもあれば、ある作品は想定価格以下で落札されたり、結局、最低価格に届かず落札されないものなど色々ありましたが、全体を通していえるのはコンテンポラリー写真作品は比較的安価な結果、一方、世界的に知られるような大作家の作品は価格が高い位地で安定したもので終了したと言えると思います。

そういいながらも今回のオークションの中でかなりお得だった世界的に知られる大作家の作品もありました。アメリカの写真家、アンセル・アダムの有名な作品「Moonrise, Hernandez, New Mexico」で、想定落札価格は15,000-20,000ドルでしたが、最終的には11,475ドルでの落札となりました。

因みにこの作品は2009年12月にSwann Auction Galleriesで36万ドルという値段をつけたものと同じ作品です(13×17 6/16インチ、1948年版、10枚限定)。勿論、今回のオークションにかけられたのは1941年に撮られた作品を1970年に再創作したたもので(サイズ16×20インチ)です。それでも通常のギャラリーでは5万ドルぐらいの価格で販売されている作品(1970年版)です。また、Swann Auction Galleriesでは先の36万ドルで落札された作品以外に、同じオークションで1960年代に創作された作品も出されていましたがそれは4万8千ドルで落札されています。勿論、写真作品の場合でもその作品、作品で現像時に出る微妙な差やコンディション等で価格が左右されたりしますが、今回の11,475ドルというのはかなり破格の落札価格であったといえると思います。

いかがですか?コンテンポラリー・アートのオークションでの作品購入は思いがけない価格で落札することも出来れば、売却する場合にはどのオークションハウスを使うかでかなり価格が左右されるのもお分かりいただけたかと思います。勿論、今回のWright20でのオークション結果のうちのごく数点を例として取り上げただけで、全てのものに今回のことが当てはまるわけではありませんが、皆さんに少しでもオークション(インターネットではなく)のことが伝えられればと思ってこのブログとしました。

KYFAではコレクターのために世界各国のオークションハウスで行われるオークションの代理、お手伝いもさせて頂いております。ご興味のあるオークションでも外国となるとちょっとと考えられているコレクターの方がいらっしゃいましたら、是非一度お気軽にお声をお掛け下さい。お客様のニーズに合わせたサービスをご提供させていただきたいと思っております。

用の美(アメリカン・ストリームライン・デザイン)

Posted in New! by Administrator on the February 15th, 2011

アメリカのネットニュース、ハフィントン・ポストに面白い記事がありましたのでご紹介します。

今月13日より始まったアメリカ、オクラホマ州にあるフィルブリック・ミュージーアム・アートで行われているアメリカン・ストリームライン・デザイン展に関しての記事でした。ストリームラインとは流線型のこと。確かに戦後世界中みなの憧れであったアメリカのデザインは全てがこの「ストリームデザイン」であったような気がします。

元々、このストリームデザインというのは工業用品のデザインとして大恐慌期(1929年~)を始まりとする約20年間の間にはやったデザインです。このストリームデザインは曲線的で極端なまでに不必要なものを削り取ったすっきりとしたシルエットのデザインです。この催しが焦点を当てているのは大恐慌によって疲弊した当時の人々が、フランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策やストリームラインで作られた物に進歩や経済復興などを重ね合わせたものです。現在ではレトロ的、科学的でミニマリズムなスマートなスタイルはよりよい将来と希望を象徴していたのです。アメリカン・ストリーム・デザインはこうしてアメリカ国民の生活に密着する形で1930-1950年代のオフィス、リビングルーム、キッチン、バストイレをはじめ遊びや交通分野にまで浸透していきます。

確かに戦後の日本でも苦しい時を早く脱出し、新しい希望のある生活をもとめ、戦勝国であるアメリカの文化や流行をより「豊かな」ものとして捉え、憧れを持っていたのだと思います。ですからこのアメリカン・ストリーム・デザインというのは欧州を起源とするアールデコ・デザインを基にしながらもアメリカ的な大胆で力強いデザインであると思います。

アメリカのストリームライン・デザインで有名なのは工業デザインの第一世代とよばれるレイモンド・ローウィ(Raymond Loewy)とノーマン・ベル・ゲッディス(Norman Bel Geddes)の流線型デザイン。ローウィはその著書「口紅から機関車まで」で商品パッケージから鉄道までストリームラインの造形を進めます。またゲッディスは流線型の機関車を手始めに、自動車、客船までストリームラインをその流体力学的な発想から動的デザインに使用していきました。ゲッディスは「形を指図するのは機能」とのべています。しかし、この機能から生まれたデザインはその後、消費者の要求によりゲッディスが意図したものとは違う方向に発展していきます。ウォルター・ドーウィン・ティーグ(Walter Dorwin Teague)は消費者により受け入れられる造形と収益が上がる生産性をデザインの基とし企業利益を上げることに中心をすえ新しいデザインを創り出していきました。

私が今日このストリームライン・デザインに代表される品々を見て思うのは当時の工業デザイナー達が如何に機能と格好良さを兼ね備えたものを創り出そうと考えたことです。たしかに流体力学という見地からの発想であったストリームラインはいつの間にかトースターやアイロンなどの日常生活品にまで及んでいます。

今日の工業デザインにも言えることだと思いますが、ある新商品が世に出る場合、この形が「格好いい」、また大変よく売れたという理由でそれがその後のその物のデザインイメージとなって汎用されていくのでしょうね。そう考えると日頃眼にしている色々な物の形が確かにどうしてこうなっているのだろうとあらためて考えるいい機会になったように思います。

このアメリカン・ストリーム・デザイン展は2011年5月15日までオクラホマ州のフィルブリック・ミュージアム・アートで行われています。

フリーマーケット 

Posted in New! by Administrator on the February 8th, 2011

前回のブログのアップから大変時間があいてしまいました。もう既に2011年も2月に突入し、あらためて時間が過ぎるのが早いなと感じさせられます。

さて、今日のブログはフリーマーケットについてです。私は子供の時から何故か古いものに興味があり、フリーマーケットに大変興味を持っていました。サンフランシスコ周辺にも毎月フリーマーケットが行われていて、私も暫くは友人にフリーマーケットジャンキーと言われるほど通っていました。一度などは早朝3時から始まるといわれるものに友人と一緒に行きましたが、懐中電灯をかざしながら、業者の人と思しき方達と同じようにこれから荷物を解こうかとしているブースで「どんなものを持っていますか?」「(その時探しているもの)を持っていませんか?」と尋ねながら周ります。フリーマーケットではその道の方々がとにかく他の人が探して持って行ってしまう前にと、早朝からのバトルを行っているのです。

私も最近ではもうそのように超がつくような早朝からフリーマーケットに出かけることはなくなりましたが、今でもあの手に汗を握るようなわくわくする気持ちはよく覚えています。そういえば、皆さんはなぜ「フリーマーケット」とよばれているのかご存知ですか?フリーは「タダ」と言う意味ではなく、「蚤」の意味です。確かに日本語でも「蚤の市」といいますよね。別に古いものだから「蚤」がいる訳ではないのでしょうが、古いまたは使われたものを売り買いすると言う意味でフリーマーケットと言うようです。


東京でもよく週末にいろんなフリーマーケットに出かけてみました。やはり世界共通のことなのか、フリーマーケットでお店を出している方も、何かを探しに来ている方もアメリカのフリーマーケットの方達とどこか似ています。数ある東京のフリーマーケットの中でも私は門前仲町の富岡八幡宮で行われているフリーマーケットがその規模と言い、集まっているものと言い、とてもレベルが高いと思います。古伊万里などの焼き物、日本刀や刀の鍔、浮世絵、古書、懐かしいおもちゃやキャラクターグッズなどなど、いろんなものが集まっています。そのお値段も様々で、それこそ何十万円もするようなお品から100円程度のものまで色々です。私がよく行く時間帯は11時ごろで、その頃にはもうその道の方で掘り出し物を探そうと言うような方は姿を消し、このフリーマーケットでお土産を探しているような外国人や買うと言うよりもフリーマーケットを見に来ている人が目立ちます。フリーマーケット(骨董市)と言うとなんとなくお年を召した方が多いように思われがちですが、最近のフリーマーケットはお店を出している方も買いに来ている方も若い方が大変目立ちます。特に若い方で、日本の着物や伝統的なものに興味を持っている方達が多く、またその方達のファッションもよく見るとその古い日本のものを上手に今風にアレンジして着こなしていたり使ったりしていて、面白いなと思います。

フリーマーケットはアメリカでは大変人気があり、よく掘り出し物が見つかったとかで話題になることもよくあります。アメリカのPBS(公共放送局)で人気のある番組の一つに「アンティーク・ロードショー」と言うものがあります。元々イギリスのBBCで同名の番組があり、それをアメリカ版にしたものです。ここではアメリカの色々な町でその周辺に住む人々が家のお宝や価値を知りたいものなどを持ち寄り、それぞれの分野の専門家達がその価値を教えてくれると言うものです。日本の「なんでも鑑定団」に似ているところもありますが、日本の番組のように「はずれ」のものを楽しく笑うと言うようなものではなく、殆どが何かしらの価値があり、びっくり!と言うようなものです(中にはその持って来たものについてよくリサーチをしていて、凄く自信のありそうな人が持ってきたものが実は「偽物」「レプリカ」というのもありますが)。また驚くものの中にはこのアンティーク・ロードショーが町であることが分かったのでそのために近くのフリーマーケットで数ドルで手に入れたものが、実は何万ドルもする宝だったというのもあったりして、フリーマーケットに行く人に夢を与えてくれたりします。

http://www.pbs.org/wgbh/roadshow/index.html

フリーマーケットで思ったのは確かに「お宝」とよばれるようなものではないですが、普通には見向きもされないようなものが飾り方や使い方で思わぬ素晴らしいインテリアのオブジェになったりすることの発見です。例えば皆さんは「シャビー・シーク」という言葉を聞いたことがありますか?シャビーとは英語のShabby-みすぼらしい・古めかしいでシークとはChic-粋な・しゃれたという意味です。これは元々アンティーク、骨董というと綺麗で美しいものが当然だったのですが、ペンキのはげかけた家具・建具を上手にインテリアにアレンジし、けっして綺麗な(整っている)ことだけが素晴らしいということではなく、古ぼけた感じではあるがそこに暖かさや優しさ・ノスタルジックさなどによさを見つけたものなのです。もともとはフランスのカントリー・アンティークで古い寂れた感じをインテリアデザインに取り込んだものから発生し、アメリカでもこれまではフリーマーケットでもジャンク品扱いされ新しいペンキを塗られるものだったものがかえって貴重、もてはやされるようになりました。


皆さんも今度是非お近くのフリーマーケットに出かけてみませんか?掘り出し物・自分だけがそのよさを分かる何かが見つかるかも知れませんよ。