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北海道旅行-札幌-モエレ沼公園・アートと美食

Posted in New! by Administrator on the September 24th, 2010

北海道へ初めて旅行しました。2泊3日の短いものでしたが、北海道をよく知る友人のお陰で大変充実したものにしてもらえました。

さて、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが札幌にモエレ沼公園という所があります。とても面白い公園なんですが、何が面白いかというと、彫刻家で有名なイサム・ノグチがこの公園のマスタープランを作成したということ。実は今回こちらを訪れるまでモエレ沼公園がイサム・ノグチにより設計され、この公園は公園自体が彼の彫刻作品であり、またその最大の作品であることを知りませんでした。

モエレ沼公園は半円形のモエレ沼(三日月湖)の内側を中心とする大きな公園で、園内には様々なノグチのクリエーションが点々と存在します。それらは山や森、噴水、フィールド、ビーチ、遊戯施設という通常私達が創造する彫刻作品とは違った作品群です。私が訪れたのは初秋で、北海道の青く大きな空と緑の芝生がノグチがヴィジョンしたであろうアートと自然の調和となって現れていると感じました。私なりの解釈ではありますが、ノグチはこの公園が勿論彼のアート作品としての美しさを楽しむものだけではなく、この公園を訪れる人々、特に子供に自然とアートをじかに感じ取って欲しいと思ったのではないかと。公園のあちらこちらでは多くの子供達が「楽しい」、「怖い」、「面白い」等と、色々な感想を一緒に来ている大人達に話しているのが聞こえてきました。もとは札幌市郊外のゴミ処理場として使われた場所を、北海道の雄大な自然とアートでもって美しく変化させ、そこにアートの一番の理解者である子供達に満喫してもらう。モエレ沼公園を訪れてみて初めてアートを直にそして自然に感じ取るという感覚を覚えました。

札幌出身の友人が同公園内にあるフレンチレストラン、「ランファン・キ・レーヴ」で昼食の予約をとってくれていましたので、園内のモエレ山の頂上から公園全体を見回した後、昼食となりました。

こちらのレストランはガラスのピラミッドの中にある施設で、受付から中に入るとそこは黒い半筒状の壁。そこを左手に進んでいくとノグチがデザインした家具や照明が心地よく配置された待合室。先程の黒い半筒状の壁はそれから囲まれるようになった円形のモダンな暖炉を取り囲む椅子の背になるものでした。またノグチ独特の床から近い位置に座るシートとノグチテーブルが壁一面が大きなガラス窓となって向かいのハーブガーデンを眺めることが出来るシーティングエリアとなっています。ハーブガーデンの更に向こうにはカラ松の林と海の噴水が見え、晴れた秋の青い空とあいまって、一つのアートを見ているようでした。

そうこうしているうちに私たちの名前が呼ばれ、いざダイニングへ。ガラス張りのオープンキッチンの横にまた、壁一面がガラスとなる先程の待合室から続く眺めとなっていて、白を基調とした大変明るくシンプルなダイニングルーム。既に何組かのお客様たちが静かに食事を取っていらっしゃいました。

3つあるランチコースから一つを選び、秋とはいっても美しく晴れ上がったこの日はモエレ山を登った後であったこともあり暑かったので、2005年「マコン・ヴィラージュ」を注文。スタッフの方のお奨め通りさっぱりとした中にも青りんごを思わせるフルーツの香りが美味しいワインです。

最初の一皿はアミューズ・ギュールでミントのジュレとグレープフルーツのムース、オクラとチキンの煮凝り、セミドライフルーツトマトとゴートチーズのブルシェッタ、生ハムとメロンの白胡椒添えをいただきました。これがそれぞれ小さな器に入り(ブルシェッタはそのまま)、プレゼンテーションも美しい。それぞれの品が素材の持ち味を生かした上品な仕上げ。アミューズにもきちんと力を入れた一品で大変満足しました。

二皿目はとうもろこしのミルフィーユ仕立て。マスカルポーネとホタテのムースを挟んだ極薄で歯触りが良い生地の下に、大地の恵というのにふさわしいとうもろこし。甘く、ちょうど良い塩加減に調理されたとうもろこしはまさに北海道でしか経験できない美味しさです。マスカルポーネのコクと極薄パイ生地とが絶妙なコンビを醸し出していました。また、これに添えられた野菜達(パプリカ、人参、蕪、トマト、ブロッコリー)もそれぞれが持つうまみを十分に引き出す為にそれぞれに違う調理法で供されます。最後に忘れてはいけないものに、レタスとベーコンにごくごく少量の塩をかけたサラダの美味しいこと。こんなにシンプルなのに、何と野菜の味を引き出すことが上手いこと。素材の良さを十分に分かった上で、調理するシェフに有難うと伝えたくなりました。

そして三皿目はスープでヴィシソワーズ。これもまた地元のジャガイモの美味しさが良く分かる一皿。一口一口いただくスープのコクと舌にそっと残るジャガイモの微粒子。冷たいスープであるが故余計にその味が引き立たされ、ヴィシソワーズがこんなに美味しかったかと思わされた一品です。

メインは真狩産ハーブ豚の炭火焼と油子の炭火焼のチョイスがあったのですが、私はハーブ豚を選択。炭火でグリルされたハーブ豚の脂肪の甘みが何ともいえません。また、そのソースにはシャロットとフォアグラのソテーが使われ、絶妙な塩加減とともに素晴らしいコンビネーションとなっています。また単に美的に美しく飾る為だけではないと思わされるハーブのセルフィーユが優しいアクセントとなっていました。またこの一皿に添えられているローストポテトの甘さは、地元で取れたジャガイモをわざわざ越冬させて甘みを増させたもので、グリルされたポークとの相性は抜群でした。

デザートは桃のコンポート(ピーチメルバ)。甘く煮られたコンポートのピーチと優しくクリーミーなヨーグルトがメインの味を上手に次のメインのデザートへ誘います。グランド・デザートととして供されるのはバナナのタルトとココナッツのアイスクリーム。バナナのタルトは外側に崩されたタルト生地が巻かれ、またその下には胡桃と甘みを抑えたクリームのムース。ココナッツのアイスはさっぱりとした甘さで、この日のランチを締めくくるのにぴったりでした。
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そのものがアートであるモエレ沼公園と北海道の食材を使った美味しい料理は初めて訪ねた札幌を忘れられないところにしてくれました。

レストランを出た頃には海の噴水でのショーが行われいて、水が作り出す自然の動きがまるで生命の誕生をあらわすかのようでした。ショーが終わる頃には、またさっきまではあんなに良かったお天気が雨へと変わり、早い北海道の秋を感じるものとなりました。雨にぬれた芝生を歩くと何ともいえない自然の香りが漂います。

続いて、まだ見ていなかった桜の森とノグチがデザインした遊戯施設を見に行きます。雨のせいで子供のいなくなった遊戯施設はノグチの彫刻群そのもの。彼がビジョンしたものがまさにこれであると思わざるをえませんでした。アートは身をもって楽しむもの、体験するもの。雨に濡れ自然の中にたたずむ遊戯施設を見ているとふと子供の頃に雨にあって雨宿りをしていたことが思い出さされました。傘を持たない私達一行も雨宿りです。やむのをしばらく待ちましたが、やむ気配がなく、またひどい雨でもなかったので濡れながら帰途につくと今朝登ったモエレ山が見えます。濡れた緑は更に色を増してやがて来る寒い季節の前に精一杯の命を感じているようでした。
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北海道、札幌、モエレ沼公園。自然とアートと美味しい食べ物が楽しめる、そんな場所でした。