kenjiyokoo.com Blog


「皇室の名宝展」に行ってきました1

Posted in Art exhibit by Administrator on the November 3rd, 2009

先日、上野の東京国立博物館で行われている「皇室の名宝展」に行ってきました。平日の午後3時とはいえ、やはり入場するには待ち時間があるくらいの混み様で、人々の関心の高さを物語っていました。この展覧会は御即位20年記念の特別展であり、一期と二期に分かれて皇室ゆかりの名宝をこれまでにない規模で見られるとあって、私も大変期待をして見に行きました。

唐獅子図屏風(右隻)

唐獅子図屏風(右隻)


最初に感動的な出会いであったのは狩野永徳の「唐獅子図屏風」でした。まずはその規模の大きさに圧倒されます。二頭の唐獅子の躍動感がその渦を巻く毛並み、隆々とした筋肉から伝わるのと同時に、金箔の背景が奥行きの深さとまた荒々しく描かれた山の壁面をして一瞬自分がどこにいるのかを忘れてしまうような屏風絵です。これは時の頂点に上り詰めた豊臣秀吉がその居を飾ったものとされ、秀吉に謁見する諸大名達は眩いばかりのこの屏風の前で、かの権力者の力を感じずに入られなかったのではないかと思いを馳せました。

次に驚きをもって思わず見入ってしまった作品は「萬国絵図屏風」。十七世紀初期に描かれたこの絵は、当時外国から入ってきた全く新しい絵の描き方を日本の絵師たちが日本絵の具で表現し、それは模写に近いものとはいえ、きっと自分たちは行くことのない遥か遠くの異国の情景や人々を描き出しているのです。今の我々が行ったのことない外国の国を思うのとは違う、情熱や憧れが伝わってきます。また当時この屏風絵を見た人々の驚きはいかなるものだったでしょう。

「南天雄鶏図」伊藤若冲、動植綵絵より

「南天雄鶏図」伊藤若冲、動植綵絵より


そして今回の展覧会の目玉である伊藤若冲の作品群が、ある意味、人々の熱気とともに目の前に現れます。鑑賞されておられる方々はまさにこの部屋の中でまるでラッシュ時の電車を思わせるような混み様の中、真剣なまなざしで見ておられます。人々は何をしてここまで若冲の絵に魅せられるのでしょうか。それは私も自分が初めて実物の若冲作品を見たときに「いったいこの絵を書いた人はどんな人なんだ」と思ったその驚きがそうさせるのかもしれません。若冲は色の魔術師のようです。細部にいたるまで書き込まれた生き物達。若冲の人まねではない自分らしさを出しつくした境地は対象物の構図、微細な部分へのこだわり、彩色の万華鏡とも言えるそのあでやかな色使い。これだけの数の若冲を一挙に見るのはある意味疲れました。そして思いは、この「動植綵絵」が本来寄進された相国寺において釈迦三尊像と共に飾られた様を想像するとその荘厳を感じた昔の人々はどのように感じ入ったかを想像するに難くないと思われました。
「西瓜図」 葛飾北斎

「西瓜図」 葛飾北斎


ある意味、この展覧会はあまりにもすごい作品が並びすぎていて、全部をきちんと鑑賞しようとすればとてつもない時間がかかるのではと思われます。近世の絵だけを見てもすでにかなりの時間を費やしてしまいました。その中にあって、私が大変気持ちを引かれた、あるいは癒されたと思う作品は実はこの近世絵画の最後の部屋の最後の展示物でした。葛飾北斎筆、「西瓜図」。浮世絵でよく知られた北斎の肉筆絵です。その作風はあくまでも静かな細密描写。空間の中に薄い西瓜の色がにじみ出た和紙の表現や、薄くきられて干された西瓜のなんともいえない涼しさ。ある意味素晴らしいコース料理を堪能した後に出された果物のような、本当に清々しい気持ちにしてくれました。

それでは、「近代の宮殿装飾と帝室技芸員」の部は、「皇室の名宝展」に行ってきました2に続きます。

Leave a Reply