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SFMOMAへ行ってきました

Posted in Art exhibit by Administrator on the August 31st, 2009

Robert Frank’s “The Americans”


8月23日まで行われていたロバート・フランクの「The Americans」をみてきました。ロバート・フランクは第二次世界大戦後のアメリカを代表する写真家ですが、彼の代表作である「The Americans」出版50周年を期して行われた写真展です。

これらの作品が撮られたのは50年以上前のアメリカですが、1950年代といえば戦後の好景気によりアメリカは世界中の憧れ的な存在であったころです。しかし、彼の作品「The Americans」をご覧になられた方はお分かりかと思いますが、羨望に満ちた豊かなアメリカの存在とは別な、一般の、またはその豊かさの陰に隠れた多くのアメリカの人々の生活を冷静な目で捉えた作品群です。ロバート・フランクは1955年にグッケンハイムメモリアルファンデーションからのグラントを得、約2年の間家族とともに28,000枚にも及ぶ写真を撮りました。これらの作品のうちの83枚が最終的に「The Americans」として出版されるのですが、当時のアメリカの写真界は彼の作品はある批評家からは「意味のない、ぼんやりとした、埃っぽく、泥臭くて暗い露出に、地平線さえ斜めになってしまった、まことにお粗末なもの」等と酷評されたりしましたが、ビートネック作家であるジャック・キャロラックからの応援もあり、後にはアメリカの代表的写真作品と評されるまでとなりました。

フランクが写し出しているアメリカは光と影があるとすれば影の部分に焦点を当てたものであると思います。でもその影の部分は消して悲惨ではなく、静かながらも力強さを感じさせるアメリカの庶民そのものです。彼のレンズは当時のアメリカ社会が多くの人々があこがれたユートピアだけではなく、そのユートピアを実現するためには必要であった社会の底辺に焦点を当てたものなのです。日常の日々のふとした瞬間、小さな喜びと悲しみ。さまざまな人々の生活がありのままに写し出されています。

この作品群を前にして感じられるものは人それぞれでしょう。私には50年という月日を経たいまでも写し出された人々の生活や息遣いが感じられるこれらの作品に不思議な力強さを感じました。写真というメディアの奥深さはとても面白いものだと新たに考えさせられる作品展でした。